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社説

東芝の半導体事業売却 国の手助けは合理的か

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 東芝は、経営再建のための半導体製造子会社の売却について、経済産業省主導の投資会社である産業革新機構が中心になった日米韓連合と、優先的に交渉すると決めた。

     米原子力子会社の損失が招いた債務超過の穴埋め処理は事実上、国の働きかけと資金提供によってまとまる方向になった。

     国の関与は「半導体事業の技術と雇用の海外流出を防ぐ」狙いとみられる。原発事業を担う国策企業を側面から支える思惑もにじんでいる。だが、将来の国民負担につながる恐れも消えず、合理的な判断と言えるのか疑問はつきない。

     日米韓連合は、革新機構と政府出資の日本政策投資銀行、米投資会社ベインキャピタル、韓国半導体大手SKハイニックスで構成する。

     買収額2兆円強の分担は明らかではないが、革新機構と政策投資銀が出す金は広い意味での公的資金である。その資金で成り立つ会社は「日の丸半導体メーカー」と言える。

     記憶に新しいのは、同じ名で呼ばれたエルピーダメモリの失敗だ。

     日立製作所とNECの半導体事業を統合した新会社だった。経営難に陥って政策投資銀が2009年、300億円を出資したが、韓国勢に価格面で対抗できず3年後に破綻し、280億円の国民負担が生じた。

     新会社設立も、その後の支援も「ハイテク産業のけん引役として必要だ」と考えた経産省が動いた。今回は稼ぐ力のある半導体事業を国内に残し、同時に東芝の再建にはずみをつける考えだろうか。

     東芝にとって、今回の売却先決定は、株式上場廃止を迫られる2期連続債務超過は避けられる見通しになったというにすぎない。

     巨額損失が表面化してほぼ半年、東芝は後始末と目の前の手続きに追われている。収益源の半導体部門を手放し、エレベーターや鉄道などの社会基盤事業に経営資源を集中する方針だが、具体策は見えない。対外的な信用力や社内の士気は徐々に低下しているとみられる。

     そんな中、資金繰りに不安も抱え、米原子力子会社の損失は膨らむ恐れがあるという。17年3月期の有価証券報告書が提出できず、8月には東証2部に降格されるかもしれない。会社存続への懸念は消えない。

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