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老朽化苦しむ大学研究炉 国内全3基運転再開へ、原子力の担い手不足も懸念

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 国内の大学にある研究用原子炉3基が近く、全て運転再開する見通しとなった。しかし施設の老朽化に加え、核燃料の確保も不安が残っており、存続を危ぶむ声もある。東京電力福島第1原発事故の廃炉作業などを抱える中、原子力分野の担い手不足も懸念される。【鳥井真平】

 ●全国で大阪だけ

 「原子炉を起動しました」。2014年2月の定期検査から停止していた近畿大原子力研究所(東大阪市)の原子炉が4月12日、学生の掛け声とともに運転再開した。安全対策の強化を求める新規制基準が適用され、原子力規制委員会の安全審査をパスし、運転再開するまでに3年2カ月かかった。起動から約1時間後、核分裂が安定する臨界状態に達すると、制御室で拍手が起こった。「ここまで来るのは長かった」。伊藤哲夫所長が感慨深そうに語った。

 国内の研究炉は、日本原子力研究開発機構などを含めて14基。このうち、大学の研究炉は近大のほか、21日に運転再開した京都大原子炉実験所(大阪府熊取町)の臨界実験装置KUCA(出力100ワット)と、8月に運転再開予定の研究用原子炉KUR(同5000キロワット)の3基だけだ。基本的に発電はせず、原子炉の基礎的なデータの収集のほか、放射性廃棄物の管理技術の開発やがん治療への応用などにも期待される。

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