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社説

潜在化するホームレス 住居確保の政策が足りぬ

 貧困などのため住む場所を失うリスクにさらされている人は多い。政府は住居があらゆる生活の基盤であることを直視し、安心できる住まいの確保に全力を挙げるべきだ。

     路上や公園など屋外で寝泊まりする人は、ピークの2003年に2万5296人だったが、16年には6235人に減少した。

     しかし、65歳以上が約4割を占め、10年以上ホームレス状態の人も3割を超える。都市部では、認知症や慢性疾患を持った路上生活者が増えている。

     そうした現実を踏まえ、8月に期限が切れる予定だったホームレス自立支援法が、法改正によって10年間延長されることになった。

     潜在化している課題は多い。定まった住居がなく、ネットカフェや安全基準を満たさない安価な「脱法ハウス」で寝泊まりしている人は多い。各国ではホームレスの定義に含まれているが、日本では除外されている。統計上ホームレスは減少しているが、実態は深刻だ。

     首都圏・関西圏の年収が200万円に満たない若者(20~39歳)の77%が親と同居する一方、別居派のうちホームレスを経験したことのある人は13・5%に上るという調査結果がある。

     日本のワーキングプアの若者は、親と同居しなければ生活できないのが実情だ。借家住まいの多い都市部では、親の高齢化や死亡によって住む場所を失うリスクを抱えた潜在的な層が存在する。

     家賃の滞納で保証会社から違法な追い立てにあって住まいを失う人も多い。また、公営住宅は数が少ない上に、単身の若者には倍率が高い。東京都では身分証明書のない人はネットカフェを利用できず、劣悪な「脱法ハウス」や路上で寝泊まりするしかない人がいる。

     困窮者向けの住宅手当、住居確保給付金などの制度もあるが、就労意欲や就労能力のある人に限定されており、支給期間も短いのが問題だ。

     先進諸国では、福祉施策の中で住居の確保について優先的に取り組んできた国が多い。それに比べると、日本の居住政策は大きく立ち遅れている。

     誰もが安心して暮らせる場所を確保できる政策が必要となっている。

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