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持田叙子・評 『老いの荷風』=川本三郎・著

 ◆持田叙子(のぶこ)評

 (白水社・2592円)

戦争に粘り強く否をとなえる文学

 明治・大正・昭和にわたり活躍した文学者の永井荷風は、太平洋戦争後の一九五九年、七九才で亡くなった。

 近代の作家としてずばぬけて長寿である。老いをゆたかに多彩に描いた。

 ふしぎな人で、若い頃から老いに魅せられていた。フランス遊学から帰国した三十代の頃より、特徴的に老いをテーマとした。作品にぞくぞくと個性的な老人を登場させた。

 たとえば『すみだ川』では、老いた遊び人がからだを張り、甥(おい)の純愛を守る。社会批判のエッセイに…

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