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余録

「人寄せパンダ」は田中角栄元首相の…

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 「人寄せパンダ」は田中角栄元首相の造語という説がある。1981年7月の東京都議会選挙で「私は人寄せパンダ、頼まれればどこへでも行く」と語り、流行語になった(「新語・流行語大全」自由国民社)▲前年の衆参同日選前にも同様の「人寄せパンダ」発言があった。ロッキード事件で自民党を離党した元首相が復権に執念を燃やしていた時期。大衆的人気を頼りにしていたのだろう。自民党都議を前に「俺は劇物だぞ。毒になるか薬になるか知らんぞ。それでもいいならパンダになってやる」と語ったこともある▲パンダの集客力の大きさが前提の言葉でもある。元首相が実現した72年の日中国交正常化で上野動物園にカンカンとランランが贈られて以来、パンダに行列はつきもの。80年には福岡、81年には神戸に中国からパンダが一時的に貸し出され、人気を博した▲パンダ人気は日本に限ったことではない。動物学者のローレンツは人間は幼児と似た特徴を持つ動物に愛情を感じると指摘した。大きな頭や目、小さな鼻などだ。子犬や子猫もそうだが、大人になっても変わらないのはパンダだけだ▲81年都議選は自民が敗北し、田中派候補も苦戦して人寄せの田中パンダは薬にはならなかった。そのせいではあるまいが、近年は「人寄せパンダ」を人気があっても実力が伴わないと皮肉る意味で使うことが多いという▲しかし、パンダの魅力は一過性でなく、天性のものだ。「実力」を疑う人はじっくりと本物を観察した方がいい。

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