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文化財と学芸員の役割

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青柳正規氏
青柳正規氏

 美術館、博物館などで勤務する学芸員が注目されている。きっかけは山本幸三・地方創生担当相が4月、講演後の観光施策などに関する質疑で「一番のがんは学芸員。観光マインドが全くなく、一掃しなければだめ」と発言したことだ。発言は翌日に撤回されたが、学芸員に求められる本来の役割とは何だろうか。

活用と保存、調整できる人材を 青柳正規・前文化庁長官

 1980年ごろから「持続可能な社会」ということが地球上で最も重要な将来計画になった。ところが、山本幸三氏の発言は「勢いに乗っている今のうちに何でもかんでも使っちゃえ」と聞こえる。文化財の公開と保存は、大英博物館や仏ルーブル美術館ができた18世紀半ばごろから、常に相対立する概念としてあった。両者の折り合いをどうつけるかは文化行政の要であり、文化財を管理する組織や学芸員が最も知恵を絞るべきところだが、200年以上の議論を経た今も結論は出ていない。

 一方で、近年の保存科学の進展には目を見張るものがある。たとえば文化財を展示する時、気密性の高いケースに入れることで外界の影響をかなりの割合で避けられるようになった。劣化の一因となる照明も紫外線や赤外線の少ない光源が開発されつつある。こうした技術は発展途上だが、もう少し我慢すればもっといい状態で長期にわたって展示できる状況が開けてくる。ここはもう少し時間幅を大きく取り、100年、200年という軸で…

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