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社説

文氏の南北合同チーム提案 状況を見極めてのことか

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 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が、平(ピョン)昌(チャン)冬季五輪(来年2月)での韓国と北朝鮮による合同チーム結成を提案した。文氏はさらに、開会式での合同入場行進も実現させたいと表明した。

 自国開催の五輪を同一民族の協調につなげたいという思いは理解できるが、北朝鮮を巡る現在の状況を見極めた上での提案なのだろうか。

 北朝鮮は、国際社会の制止にもかかわらず核実験と弾道ミサイルの発射を繰り返している。日本と韓国にとっては既に現実的な脅威となっており、米国を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発も進んでいる模様だ。

 国際社会がこれに対し結束して核・ミサイル開発をやめさせようと圧力を加えている。そうしたさなかの提案は北朝鮮を利することになりかねず、十分な思慮がなされたのか首をかしげざるを得ない。

 しかも、文氏は週後半にトランプ米大統領との会談を控えている。

 北朝鮮で拘束された米国人大学生が意識不明の状態で解放され、直後に死亡した事件で、北朝鮮に対する米国の世論は悪化した。

 文氏は、南北関係を動かすことで米朝関係にも好影響を与えられると力説してきた。そうだとしても、現在の米国で今回の提案が前向きなものと受け止められるかは疑問だ。

 文氏は提案に際して、合同行進が行われた2000年シドニー五輪を引き合いに「感動を再び」と呼びかけた。

 だが当時は初の南北首脳会談の直後で、スポーツ交流がさらなる和平進展につながるという期待が国際社会に共有されていた。だからこそ大きな拍手が送られたのである。

 今回の提案の背景には、韓国が朝鮮半島情勢における当事者だという意識がある。自分たちが主導的な役割を担わねばならないという強い思いだろう。

 文氏は大統領選直前の米紙のインタビューで、米国や中国の協議を見ているだけの立場に置かれることへの拒否感を吐露していた。こうした感覚は文氏の支持層を中心に韓国で共有されている。

 現実の国際政治を考えると、韓国だけでできることは限られる。やはり日米韓3カ国による連携が対北朝鮮政策の基本である。

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