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支局長からの手紙

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心に響くおろし餅 /福井

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 断崖絶壁の景勝地・東尋坊(坂井市三国町)の土産物店が並ぶ一角で先日、おろし餅を食べました。辛み大根の風味のしょうゆだれに浸された餅は、つきたてで軟らかく、箸で簡単に切れるほど。これだと幼い子どもでもお年寄りでも食べやすいですね。優しさに包まれた心持ちになりました。

 おろし餅を看板メニューにしている店は、自殺防止活動に取り組むNPO法人「心に響く文集・編集局」の拠点でもあります。代表の茂幸雄さん(73)らが13年前に活動を始めて以来、保護した自殺志願者は約600人。メンバーらは昼前から日没時まで岩場を巡回、死に場所を求めに来た人を探し出し、悩みを聞きます。一緒に問題解決に向けて取り組み、場合によっては一時避難場所も提供し、人生を再出発できるまで支援します。

 活動内容については福井支局の大森治幸記者が精力的に記事を書き続けています。4月24日の福井面では、自殺しようとたどり着いた東尋坊の地で、再起を目指してたこ焼き屋を始めた男性(69)のことを紹介しました。この男性が茂さんに保護され、店で振る舞われたのが、おろし餅でした。「空腹を満たし、虚無感で冷え切っていた心を温めた」と記事にあり、私も食べてみたいと先月下旬に訪れました。

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