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立志舎グループ 8都市に23校の専門学校を展開 「ゼミ学習」で実績アップ 

千葉一郎(ちば・いちろう)副理事長 1949年生まれ。中央大学商学部卒。77年、公認東京会計簿記学校(現東京IT会計専門学校)入職。学校法人東京会計学園(現・学校法人立志舎)理事、東京法律専門学校校長などを経て、98年、立志舎理事。2004年4月から現職
鉄道・観光系コースで行われているゼミ学習の一コマ
学校法人立志舎グループ ▼本部・東京都墨田区錦糸1-2-1(〒130-8565)▼理事長・小西信哉▼学生数・全国に約6000人 *写真は本部がある錦糸町キャンパスのロビー

大学に勝る人材育成力

 少子高齢化やグローバル化が進む中で、社会の要請に応える実学教育の重要性が叫ばれている。「就職氷河期」を経て、大学や短大も卒業時の学生の質保証という観点から就職率や資格取得の実績を売りに学生集めに奔走する。その中で、大学、短大をしのぎ、学生の満足度も高い専門学校がある。その驚きの教育内容を探った。【中根正義、丸山仁見】

    ●学生が自主的に

     今年5月、ITなどの成長分野で即戦力の人材育成を目指す新しいタイプの高等教育機関「専門職大学」「専門職短大」を創設することが国会で決まった。1964年の短大以来、半世紀ぶりに誕生する高等教育機関である。2019年春の開学を目指している。

     社会が複雑化する中、高度な専門性を持った人材の育成が求められている。だが、専門職大学の登場を待つまでもなく、「大学に勝る専門学校」を合言葉に、高い実績を上げているのが学校法人立志舎グループ(本部・東京都墨田区、小西信哉理事長)だ。「どこまーでも どこまーでも」のCMソングで知られる専門学校と言ったほうがなじみがあるかもしれない。

     立志舎は仙台、東京、名古屋、京都、大阪など8都市で、東京IT会計専門学校や東京法律専門学校など実学系の専門学校23校と高校1校を展開する。現在は会計や情報系の人材を育てる「IT会計」「法律」、ビジネス全般の「スクールオブビジネス」「動物」と大まかに四つの系列の専門学校を持つ。

     その教育の代名詞となっているのが、クラスを4~8人のグループに分けて行う密度の濃い「ゼミ学習」だ。立志舎の千葉一郎副理事長は「今、教育界で話題になっているアクティブラーニングを早くから取り入れている」と話す。

     6月のある日、東京都墨田区にある同グループの専門学校「日本スクールオブビジネス21」の鉄道・交通コースの授業をのぞいた。学生たちは4~5人のグループを作り、向かい合わせに座る。20~30分ほどの教員の講義後、グループごとにメンバーが協力しながら問題集を解き始めた。教員は教室内を回っているが、質問などに答えるのみにとどめ、学生たちの自主的な学びの支援に徹しているのが印象的だった。

     あるグループはリーダー格の学生が設問の解説をしながら、解答をメンバーに促す。また、別のグループは互いに意見を交換しながら解答を導き出していた。教室からは笑い声なども聞こえ、楽しそうに問題を解いているグループも。また、中国やミャンマーからの留学生がいるところもあり、隣の日本人学生がしっかりとサポートしていた。

    ●身に着く社会性

     ゼミ学習を本格的に取り入れたのは94年。それ以前は教員が一方的に授業を行うスタイルだったが、資格試験などの合格率で担当教員によって差があることが分かった。その理由を調べると、学生同士で教え合う時間を設けるなどの工夫をしているクラスで実績が高くなっていたのだ。その後、試行錯誤を重ね、現在の方式が確立した。

     千葉副理事長は「難関の資格試験などには習熟度別クラス編成が効果があるとされているが、下位のクラスは学生の意欲が著しく低下する。習熟度に関係なく、学生同士が学び合う環境を作ると相互のコミュニケーションも生まれ、目的意識が明確化する。そのうえ、楽しく学習することで各自のモチベーションがさらにアップする」と説明する。

     父親が北陸新幹線運転士という長野県出身の宇治知聖(ちさと)さん(18)=県立長野工業高卒=は「自分も鉄道運転士を目指している。就職率の高さが魅力で入学したが、クラブ活動もあり、キャンパスライフも満喫できる。ゼミ学習でほかの学生の考え方や学び方の工夫が分かり参考になる。クラスの仲間と一緒に楽しく頑張れるところがいい」と話す。また、鉄道会社への就職を目指している山形県出身の梅津尚渚(ひな)さん(18)=米沢中央高卒=は「最初は友達もいなくて心配だったが、校内行事も多く、すぐ打ち解けることができた。クラスメートとの学び合いが刺激になり、将来の目標に着実に進んでいける気がする」と笑顔を見せた。

     学生同士の学び合いがもたらした効果はコミュニケーション力のアップにつながる。社会性、協調性、表現力が身に着き、就活時の面接や集団討論などの場面でも役立つ。これが、合格実績を高めている。

     同コースではホテルや鉄道会社などの協力を得て、有給でのインターンシップも行っている。専門知識を学びながら、実地経験を積めるようなサポートもしているのだ。

     「我々の目標は資格試験や就職の実績を出すことだけではない。学生たちが社会人になってから、満足のゆく仕事をして楽しく豊かな人生を送ってほしいと願っている」(千葉副理事長)

    ●信頼・支持集め

     その実績だが、昨年度は公認会計士試験に全国最年少の19歳の合格者2人を含む計19人、税理士試験で全国最年少の21歳1人を含む計6人が現役で合格した。各種資格や公務員試験などでも高い実績を誇り、上場企業への就職率は27・83%、民間企業就職率は99・33%にのぼり、大学、短大をしのぐ実績をあげている。

     今、さかんにもてはやされているアクティブラーニングは自律的な学習を促す学習法だが、その言葉すらない時代からすでに実践を始めていたのが立志舎なのだ。同グループは基本目標に「学生から信頼され支持される学校」を掲げる。

     教育改革が叫ばれ、大学も短大もさまざまな改革に乗り出している。新たなタイプの大学も生まれようとしている。だが、その成否は学生からの信頼と支持があってこそのものだということを、同グループの実践と実績が証明しているのではなかろうか。

    「思考・判断・表現」大学入試にも 脚光を浴びるアクティブラーニング

     立志舎グループが展開する「ゼミ学習」。今話題になっているアクティブラーニングを先取りしたものとして脚光を浴びている。そもそも、アクティブラーニングとは、どういうものなのだろうか。

     次期学習指導要領では「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」という学力の3要素、中でも、これまでの学校教育では難しかった「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」の育成に力を入れようとしている。大学入試も、新しい学習の形に対応するための改革が検討されている。

     2020年度からの施行が予定されている「大学入学共通テスト(仮称)」もその一つだ。これまで重視されてきた「知識・技能」だけでなく、「思考力・判断力・表現力」を評価することに力点を置き、総合的に学力を問う狙いがある。

     このような流れの中で、教育現場ではアクティブラーニングに注目が集まっている。文部科学省はアクティブラーニングについて、「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用(はんよう)的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である」(中央教育審議会答申)と定義している。さらに、一連の高大接続改革の議論で、「主体的・対話的で深い学び」と言及するようになった。

     その特徴は、個人だけでなくグループで課題に取り組むことが求められ、学んだ知識を活用するための応用力に加え、グループワークのためのコミュニケーション力も必要とされることだ。自分の意見を他のメンバーに理解してもらうために努力することは、メンバーの合意形成のために欠かせない行為といえる。つまり、知識だけでなくコミュニケーション能力を養い、総合的な学力を育てる機会になっているのだ。

     また、キャリア意識の形成に役立つと考えられている。主体的に社会の問題に向き合い解決法を探ったり、普段学んでいることとの関連性を考えたりすることで、自分の興味や関心に気づき、未来の自分の生き方や仕事を考えるきっかけになるからだ。

     アクティブラーニングの定義などを見ていくと、立志舎グループの「ゼミ学習」が多くの部分で合致していることが分かる。以前は独特な学習法と思われていたものが、実は時代の先を行くものだったことが証明されたと言えないだろうか。

    景気に左右されぬ高い就職率 「即戦力の育成」に一日の長

     バブル経済崩壊後の不況に伴う「就職氷河期」もあり、2000年代以降、高校生の進路選択で大きなウエートを占めるようになったのが就職率だ。

     就職率の経年変化を大学、短大、専門学校でそれぞれ見てみると、グラフの通りとなる。その中で、専門学校の就職率はリーマン・ショック後でも70%台をキープし、過去3年間は80%台にのぼるなど比較的安定している。一方、大学や短大の就職率は景気の影響を受けやすく、大きく変動している。

     確かに、大学、短大の就職率は00年以降、上昇傾向にある。これは就職氷河期を経て、キャリア支援に力を入れ始めたこととも関係がある。昨年の数字を見ると、専門学校に短大が肉薄していることが分かる。

     現在は人手不足もあり、就活戦線は空前ともいえる売り手市場になっているが、先行きは不透明だ。今後の景気動向いかんにより、安定した職に就けない若者が再び増えるということも考えられる。

     もともと実社会に役立つ人材の育成が大きな使命となっている専門学校。就職ということを考えれば大学や短大に比べ、一日の長があるのは間違いない。

     専門学校は社会状況に応じて臨機応変に人材育成を行ってきた。それだけに、やりたいこと、希望する職種が明確な高校生にとっては、魅力的な教育機関であり続けることだろう。

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