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「年を取って右手がだめになれば左手で、左手がだめになれば足の指で。それも書の一つの表現だから」=東京都千代田区で、手塚耕一郎撮影

もっと激しく絶望し新しい地平目指す

 書家の握る小筆がカサカサと和紙をこする。静寂の中、かすかな音に耳を傾けていると、インタビューに来たことを忘れそうになる。自在に動く筆に、石川さんの持論をふと思い出す。 <書には、筆を下ろす「決断」、筆を進める「持続」、そして筆を上げる「断念」が必要だ>

 そんな話を向けると、石川さん、静かに筆を上げながらほほえんだ。「そう。特に『断念』、これは大事です」

 京都大では書道部で「趣味の習字のごとき書が、時代をつかむ表現となり得るのだろうか」と繰り返し自問した。全共闘世代の後輩たちが「こんなところに答えはない」と書を捨ててゆくそばで、「答えはない」と言い切る確信がなく、ただ書から離れられぬ自分への戒めに、こんな言葉を心に据えた。

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