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社説

香港返還から20年 閉塞感を強めさせた中国

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 1997年7月1日の香港返還から20年を迎える。習近平中国国家主席は祝賀行事出席のため、香港入りしたが、市内は抗議行動を警戒して厳戒態勢が続いている。

     政治、経済両面で強まる中国の圧力に民主派は「1国2制度」の形骸化だと反発を強めている。習主席は緊張の中で記念日を迎える香港の現実を直視すべきだ。

     返還後、中国と香港の経済的な結びつきは強まった。中国人の香港旅行も段階的に自由化され、年間4000万人以上が香港を訪れるようになったが、副作用もあった。

     不動産やブランド品を買いあさる中国人富裕層やマナーの悪い観光客への反発から「中国人と香港人は違う」という意識が強まったのだ。

     政治でも中国の影響力が拡大した。全国人民代表大会(全人代=国会)は、簡単には抜けない「伝家の宝刀」の香港基本法の解釈権を行使し、民主化にブレーキをかけた。

     政府も議会も親中派が主導権を握り、民主派は大衆行動に動いた。2003年には50万人デモで治安維持のための国家安全条例案を撤回に追い込んだ。14年には香港中心部を占拠する「雨傘運動」を起こした。

     表面的な繁栄は続いてきたが、政治的な安定にはつながっていない。この間、香港はアジアの都市間競争に出遅れた。金融センターとしてはシンガポールに並ばれ、経済規模では上海や北京に抜かれた。

     中国の世界貿易機関(WTO)加盟で、中国と世界の窓口の役割を失ったのに新たな成長戦略を見いだしていない。財閥に富が集中し、格差が解消されないことが若者の不満を強め、社会の閉塞(へいそく)感を高めている。

     中国の民主化が進まないことも香港との溝を広げている。香港人が中国当局者の手で中国に連れ去られる事件まで起きた。これでは「1国2制度」の公約も信じられなくなる。

     返還前後に生まれた若年層に中国への帰属意識は育っていない。むしろ抗議活動の中核だ。中国は香港独立論を目のかたきにするが、自らまいた種であることを自覚すべきだ。

     中国が力で民主派を抑えようとすれば一層の混乱を招く。「高度な自治」の原則に立ち戻って香港人の知恵に未来を託すことが香港を再び輝かせる道だ。

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