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中村文則の書斎のつぶやき

芥川賞作家・中村文則さんが、いろいろな場所の「書斎」から、さまざまなことをつぶやきます。

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中村文則の書斎のつぶやき

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中村文則さん=兵藤公治撮影
中村文則さん=兵藤公治撮影

 本を出版するのは、大変なことである。

 自分だけのことではない。出版社も膨大な準備をするし、お金もかかる。もし本が出来上がった状態で出版見合わせになれば、損害は計り知れない。

 その観点からも疑問に思う出来事があった。ジャーナリストの「詩織」氏(ご本人の家族の希望のため、名字は伏せられている)が、ジャーナリストの山口敬之氏に強姦(ごうかん)被害を受け、その逮捕状が取り消されたと記者会見をしたあの事案。何が疑問かというと、山口氏の「総理」という本が、2016年6月9日に刊行されていること。この日付は首をかしげる。まず「事件」の概要を振り返る。

 詩織氏は、山口氏と飲食をしている途中で意識を失い、気がつくとホテルで山口氏から被害を受けていたという。彼女はお酒に強く、これまで記憶を失ったこともなく、薬を盛られたのではと語っている。山口氏は行為は同意の上だったと主張し、疑惑を否定。だが防犯カメラの映像、タクシー運転手、ホテルの従業員による部屋の様子の証言などがあり、所轄は逮捕状を取る。

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