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1000億食割れ世界で需要減 「熱」冷めた訳は

中国ではインスタントラーメンの売り上げ不振が続いている=北京市内の大型スーパーで2017年6月5日、赤間清広撮影

 インスタントラーメンは日本で生まれ、いまや「国際食」の地位を確立した。アジアの経済発展に伴い、世界需要は右肩上がりを続けてきたが、ここ3年は減少局面に転じている。「熱」が冷めてきた理由を探った。【今村茜、北京・赤間清広】

アジアの宅配システム発展が逆風 中国は2割減

 世界ラーメン協会(本部・大阪)によると、2016年の世界需要は974億6000万食となり、2年連続で1000億食の大台を割り込んだ。中でも落ち込みが目立つのが、世界市場の約4割を占める中国。13年に460億食超の需要があったが、16年は385億2000万食にとどまった。わずか3年で2割近くも急減したことになる。

 「買う人が年々少なくなっている。売り場の棚を四つから三つに減らしたよ」と、北京市内の大型スーパー担当者。イメージを改善しようと、地場メーカーも「化学調味料は無添加」など健康面のアピールに力を入れ始めたが、「消費者に染みついた『体に良くない』という悪印象はなかなか改善しない」(担当者)。

 イメージだけの問題でもない。地元紙「中国消費者報」は「インスタントラーメンの苦境は複合的な要素が絡み合っている」と指摘し、中国経済の不振で、根強い顧客だった出稼ぎ労働者が減少しつつあることが響いていると分析する。

 強力な「ライバル」の出現も追い打ちをかける。中国では都市部を中心に宅配システムが急速に発展。ファストフードや人気レストランのメニューも自宅や勤務先で受け取れるようになった。湖北省の公務員、熊婧さん(30)は「電話一本でいろんなメニューを食べられるから、わざわざインスタントラーメンを食べる必要がない」と話す。

 他のアジア諸国でも宅配システムの発展は逆風だ。ベトナムでも需要は頭打ち。「最近は夜でも作りたてのフォーを届けてくれる」。ハノイ市内に住むブー・アンさん(27)はここ数年、インスタントラーメンを食べていないという。

 逆に2年連続で需要を伸ばしているのが日本だ。日本では食の多様化が進んだ00年代に需要増が止まり、停滞局面に入った。しかし、各社は消費者の健康意識の高まりを逆手に取り、脂質や塩分をカットした商品を投入。マイナスイメージをはね返してきた。

 日清食品は09年、カロリーを抑えて麺に食物繊維を練り込んだ「カップヌードル ライト」を発売し、女性客取り込みに成功。脂質と糖質を半分近くカットした「カップヌードル ナイス」は今年4月の発売から約1カ月で累計1000万食のヒット商品となった。

 明星食品は15年から糖質を抑えた「低糖質麺」シリーズを展開。16年には東洋水産が塩分25%減の「うまいつゆ 塩分オフ」シリーズを、エースコックが「だしの旨(うま)みで減塩」シリーズを投入し、血圧を意識する中高年層に受けている。

 コンビニの棚争いが激化し「次々と新商品を投入しなければ飽きられる」(日清食品広報)という危機感から商品の開発競争が加速。銘柄数は3年間で2割増え、16年は1576商品と過去最多だ。

 日本からのインスタントラーメン輸出国数は50を超える。欧州ではスプーンとフォークで食べられるよう麺を日本の半分の長さにするなど、各社がアイデアと工夫で市場を切り開いてきた。エースコックは、海外の食品協会などと協力し、安全性をアピールする活動を始めた。

 手軽で安価な食べ物から、健康的でおしゃれな食べ物に--。日本の新たなトレンドを海外に広め、「国際食」の意地を見せることができるか。

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