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たたなづく

映画監督の河瀬直美さんが時代や世界、人々のつながりに思いをはせます。

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たたなづく

映画から派生するつながり=河瀬直美

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トークショーに参加してもらった辻村深月さん(左)と河瀬直美さん=河瀬さん提供
トークショーに参加してもらった辻村深月さん(左)と河瀬直美さん=河瀬さん提供

 映画「光」の国内配給は初日がカンヌ中であったこともあり、関西の動員が伸びないと宣伝部が言った。関西での舞台あいさつも公開から1週間後の週末だ。ふと、地元奈良の皆さんから「カンヌお疲れさま」「テレビ見てたよ」「受賞おめでとう」など、カンヌに関するお声がけはされるが、「いつから映画始まるの?」といった声も同時に聞かれることが多かった。まてよ、関西の人々には、公開日と映画館情報がほとんど認識されていないのでは? この推理は当たらずも遠からずだと私は思っている。カンヌ前に受けた多くの取材では、そのほとんどが東京の映画館情報になっている。また、カンヌでの情報が多すぎて、「すごい場所ですごいことになっている河瀬さん」という認識と、その人が創った映画が近所で見られるという現実が結びついていないのだと思う。例えば、オリンピックの競技をテレビで見ることと似ているような気がする。つまり、カンヌの様子を見たことで、多くの人は完結してしまっているのだ。

 また、今回の映画「光」の宣伝文句が「ラブストーリー」だったことは、少なからずわたしの映画をよく見るシニア層の足を遠ざけてしまった感がある。ポスタービジュアルが男と女が向き合って、今にもキスをしそうなものだとなおさらだろう。「あん」で河瀬映画を知っていただいた人々に足を運んでもらっていないことをどう受け止めるか、今後の検討課題だと思っている。それでも、地元奈良に隣接するショッピングモールの中にある…

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