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健康狂想曲

健康への関心が今ほど高まっている時代はありません。あふれる情報や「健康であるべきだ」という圧力に、どこか息苦しさを感じている人もいると思います。日本人の置かれた健康をめぐる状況を探る連載「健康狂想曲」を展開します。

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第2章・広がる格差/3 中小企業・外勤者にリスク

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健康診断の結果が悪かった大手企業の社員に遠隔で指導する保健師の塚本亜麻美さん=東京都港区のオンライン健康支援企業「リンケージ」で
健康診断の結果が悪かった大手企業の社員に遠隔で指導する保健師の塚本亜麻美さん=東京都港区のオンライン健康支援企業「リンケージ」で

 ●ギリギリまで働き

 「このごろ体調が悪いんです」。昨秋、関東地方の50歳代の女性は保健師に打ち明けた。受診を強く勧めると、末期の乳がんが判明した。骨まで転移し治療は難しい。女性は中堅企業に現場のパートとして長く勤める。夫とは離婚。30歳代の息子は引きこもり、高齢の母親には介護が必要で、仕事と家事に追われ、病院には長く行かずにいた。健康診断は定期的に受けていたが、がんまではわからない。人間ドックの負担は1万~2万円で、女性のわずかな収入では手が届かない。2カ月入院していたが、自宅に戻り最低限の療養を続けている。

 保健師によると、乳がんを早期で見つけていれば、ここまでの転移は考えられないという。「自分のことは後回しにしていたのではないか」。女性の働く業界は「底辺の人」が多く支える。夜の居酒屋のバイトと掛け持ちする例もある。健康を犠牲に「ギリギリまで働いている」。

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