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/1(その2止) 「違っていていい」と思う方がいい世の中になる

 <1めんからつづく>

    実体験じったいけんを1枚半まいはん

     「普段考ふだんかんがえていることを作文さくぶんいてほしい」と神奈川県横浜市かながわけんよこはまし小学しょうがくねん勇一郎ゆういちろうさんにおねがいしたのは6月半がつなかばでした。「きます」とってくれました。自宅じたく居間いま下書したがきすること2時間じかん。「なかひとたちにってほしい」とげた原稿用紙げんこうようし枚半まいはん作文さくぶんには、みずからの実体験じったいけんまれています。

     勇一郎ゆういちろうさんは、歴史れきし大好だいすきです。とりわけ戦国時代せんごくじだい関心かんしんがあります。週末しゅうまつにはおかあさんとしろ城跡しろあとたずね、写真しゃしん文章ぶんしょう記録きろくしてきました。すでに50~60かしょめぐったそうです。大好だいすきな歴史れきしであれば、大人おとなけのほんみます。エレキギターをならい、ペットのねこをかわいがっています。

    動作どうさ表情ひょうじょうるのが苦手にがて

     そんな勇一郎ゆういちろうさんには、とても苦手にがてなことがあります。ひと動作どうさ表情ひょうじょう意味いみることに苦労くろうします。おと敏感びんかんで、にぎやかなところでは、くことができません。のうはたらきが原因げんいんとみられる自閉症じへいしょうスペクトラム(アスペルガー症候群しょうこうぐん)だからです。

     友達ともだち先生せんせいこえけるタイミングをはかるのも一苦労ひとくろうです。勇一郎ゆういちろうさんは「無視むしされたらつらくなる。でも、無視むししようとおもって無視むししているわけじゃないこともわかっている」といます。いろいろかんがえるうちに緊張きんちょうたかまり、だまってしまうのです。

    こまらないひと多数派たすうは

     勇一郎ゆういちろうさんがこんなふうにこまっていることは、まわりのひとにはなかなかつたわりません。まわりのひとすこしぐらいにぎやかでもこまることはありません。ひとこえけることも、そこまで大変たいへんではないひとほうおおいでしょう。「こまらないひと」がこの社会しゃかいでは多数派たすうはだからです。

     勇一郎ゆういちろうさんはおかあさんから、なぜ苦手にがてなことがあるのか、自分じぶん特性とくせいについて説明せつめいけてそだちました。自分じぶん少数派しょうすうはであることも、こまっていることは多数派たすうはひと自分じぶんからつたえたほうがいいということもおそわりました。文章ぶんしょうけるようになると、こまっていることをいてつたえるようになりました。

    「みんなもかんがえて」

     小学校しょうがっこうでは特別支援学級とくべつしえんがっきゅう横浜市よこはましでは個別支援学級こべつしえんがっきゅう)にはいりました。先生せんせいが1ひとりずつおしえてくれるので、教室きょうしつ緊張きんちょうしたり、こまったりせずに勉強べんきょうをすることができます。小学校しょうがっこう入学にゅうがくしてから3ねんぎ、作文さくぶんにあるように「ゆっくり練習れんしゅうをして」きました。4年生ねんせい進級しんきゅうしてからは、体育たいいくなどの一部いちぶ教科以外きょうかいがいは、特別支援学級とくべつしえんがっきゅうではなく、4年生ねんせい学級がっきゅう授業じゅぎょうけています。

     「学校がっこうれてきた」と勇一郎ゆういちろうさんですが、みんなとおなじでなければならないとはかんがえていません。それよりも、ちがっていていいんだ、とおもほうが「いいなかになるとおもいます」と作文さくぶんきました。ちがいはちがい。多数派たすうは少数派しょうすうはともきる。作文さくぶん最後さいご一文いちぶん「みなさんはどうおもいますか?」は、「かんがえてほしい」という勇一郎ゆういちろうさんのびかけです。

       *   *

     みんなが大切たいせつにされる社会しゃかいつくろうと、国連こくれんで「障害者権利条約しょうがいしゃけんりじょうやく」がまれ、日本国内にほんこくないでは法律ほうりつ整備せいびされてきました。けれども昨年さくねんがつ重度じゅうど障害しょうがいがあるひとたちのいのちうばわれる事件じけんきました。「みんなが大切たいせつにされる社会しゃかい」のために、なにができていないのでしょうか。なにをすべきでしょうか。あれから1ねんあらためてかんがえます。【望月麻紀もちづきまき】=つづく

    多数派たすうはの ルール

     勇一郎ゆういちろうさんのおかあさんは友達ともだちたいする「バイバイ」の仕方しかたを、イラストをいて丁寧ていねい説明せつめいしました。相手あいてほうかずにバイバイをする勇一郎ゆういちろうさんのことが、友達ともだちにはどうえるのか。社会しゃかいには、勇一郎ゆういちろうさんにはえにくい多数派たすうはのルールがいっぱいあるのです

     ■勇一郎ゆういちろうさんの作文さくぶん

    「みなさんにってほしいこと」

     個別支援級こべつしえんきゅうにいるたいして、「出来できないから支援級しえんきゅうにいるんだろう」とおもっているひとがいます。でも本当ほんとう出来できないわけではなくて、安心あんしんできる場所ばしょ少人数しょうにんずう練習れんしゅうすれば出来できるようになるし、得意とくいことばせます。得意とくいことえれば自尊心じそんしんえるので、将来しょうらいなれることもえます。だから支援級しえんきゅうえらんでいるのです。

     ぼくは歴史れきしきだから、自分じぶん得意とくいことつうじてクラスメイトと仲良なかよくなれました。先生せんせい協力きょうりょくて、「得意とくいなこと発表会はっぴょうかい」をつくってもらえたので、きっかけになりました。こんなふうにきっかけがあれば、周囲しゅういひとたちに理解りかいられます。理解りかい信頼しんらいをしてもらうと、とてもきやすくなります。

     いまいる学校がっこうは、苦手にがてこと無理矢理むりやりやらされないので、安心あんしんして学校がっこうけます。苦手にがてことは、校長先生こうちょうせんせい担任たんにん先生せんせい交渉こうしょうして、ゆっくり練習れんしゅうをしています。

     なかひと

     わざとらしいやさしさや、めつけた支援しえんはしないでほしいです。ちゃんと理解りかいしてほしいので、ぼくたちの気持きもちをいてください。もし、しゃべるのが苦手にがてくのが苦手にがてがいたら、その様子ようす気持きもちを理解りかいしてあげてください。

     みんなとおなじが安心あんしんだとおもっているひと

     だれもがおなじだと、このなかたないです。だから、「みんなちがってみんないい」というかんがえがあると、もっといいなかになるとおもいます。

     みなさんはどうおもいますか?

    原文げんぶんにルビをけました

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