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東京都議選と首相の「反省」 すり替えは通用しない

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 何を反省し、どう謙虚になろうというのか。

 東京都議選に惨敗した安倍晋三首相(自民党総裁)は記者団に「厳しい叱咤(しった)と深刻に受け止め、深く反省しなければならない」と述べ「謙虚に丁寧に」国政に取り組むと語った。

 その後の毎日新聞のインタビューでも「私自身、緩み、おごりはないか」と述べた。

 先の通常国会での「共謀罪」法強行成立や加計(かけ)学園問題が世論の批判を招いたことを踏まえての発言だ。

 ところが、安倍首相は野党が求める臨時国会を早く開いて自ら批判に答える姿勢も、憲法改正で時間をかけて合意形成を図る謙虚な態度も示さなかった。

 これでは惨敗の責任を深くかみしめているのか、疑問を抱く。

 これまで首相はタカ派色の強い政策を強行し、支持率が下がると「経済最優先」をアピールして政権浮揚を図ってきた。

 特定秘密保護法成立後の成長戦略強化や、安全保障関連法成立後の「1億総活躍」提唱が、そうだ。

 人気を回復して選挙に臨み、勝利した勢いを次の対立法案推進のテコにする手法である。

 今回の惨敗をどう乗り越えるか。首相は「人づくり革命」を掲げるが、それを跳躍台に憲法改正につなげる狙いがあるのではないか。

 今回はそのすり替えは通用しない。都議選で問われたのは安倍首相の政治手法そのものだからだ。

 首相は国会閉会後の記者会見で「反省」を口にし、さまざまな指摘には「説明責任を果たす」と言った。

 だが、その後の加計学園を巡る新文書や稲田朋美防衛相の自衛隊に言及した応援演説を重大視せず、疑念に進んで対応しなかった。

 野党の異論に耳を傾けないどころか、敵視する。自身に近い議員を重用し、言動に問題があっても任命責任を取ろうとしない。官僚は人事権で服従させる。

 そんな首相の姿勢に国民が不信を抱くのは当然だろう。

 都議選惨敗で首相の求心力の低下は避けられない。自民党は結束して安倍政権を支えていくと確認したが、党内には不満もある。政権の問題点をきちんと指摘する議論が起きるのかが、試されている。

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