連載

加藤浩子の「街歩き、オペラ歩き」

バッハとイタリア・オペラをテーマに、執筆、講演、音楽ツアーの企画など多彩に活動する加藤浩子さんのコラム。クラシックナビ連載。

連載一覧

加藤浩子の「街歩き、オペラ歩き」

ヨーロッパ一の充実度、イギリスを代表する白亜の宮殿~ロイヤル・オペラハウス

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
ロイヤル・オペラハウスの外観
ロイヤル・オペラハウスの外観

 ロンドンのロイヤル・オペラハウスは、数あるヨーロッパの大歌劇場のなかでも、設備、公演内容とも際立った充実を誇る劇場だ。劇場街の近くに建つ白亜の劇場は、ニューヨークにおけるメトロポリタン・オペラ同様、ロンドンのパフォーミングアーツの総本山といってもいいだろう。

 外観は堂々として、ギリシャ神殿のよう。とはいえ意外に窮屈な感じがするのは、メトロポリタン・オペラやスカラ座のように広場に面していないためだろう。だが内部の空間はきわめて広く、豪華。というのも1990年代後半から2000年にかけての改築のおかげで、とくにホワイエの部分が大きく拡張されたのだ。新しい部分のメインは温室を思わせるガラス張りで、中央には華やかなシャンパンバーが設けられ、周囲をレストランのテーブルが囲む。それ以外にも天井桟敷(アンフィシアター)の広々としたバールやレストラン、ソファも置かれたバルコニー、オペラの映像ソフトなどを売る売店などがあり、公演前後や休憩中の楽しみがぐっと広がった。一方で、昔からの古い建物にも、ぎしぎし鳴る床に敷き詰められた赤い絨毯(じゅうたん)や、クラシックな大シャンデリアがレトロな雰囲気を醸し出すバールやレストランがひしめいている。幕あいには、ロイヤル・オペラ名物の、劇場名入りのアイスクリーム(ほかの劇場ではまずお目にかかったことがない。日本の新国立劇場ではハーゲンダッツのアイスクリームが売られているが……)を売る屋台が出る。劇場全体が、ちょっとした「街」のようだ。

 もちろん、劇場内部も華麗な空間。およそ2200席を数える馬蹄(ばてい)形の劇場は、イタリアの伝統的な劇場のように深紅と金、白に彩られ、4層の桟敷席と広々とした天井桟敷が連なる。一方、天井の照明は、よくあるぶら下がるタイプのシャンデリアではなく、天井に取り付けられた円形のライトになっていて、その分天井が高く、よけいに広々とした印象を与える。

この記事は有料記事です。

残り3524文字(全文4333文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集