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余録

中島敦の短編「文字禍」は…

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 中島敦(なかじまあつし)の短編「文字禍(もじか)」は古代アッシリアの博士が文字の霊にたたられる話だが、首都ニネベの図書館が舞台だった。後世の人類はそこに所蔵された粘土板の楔(くさび)形(がた)文字により古代メソポタミアの歴史を知った▲そのニネベが現在のイラクのモスルである。粘土板は今は大英博物館に保管されているが、過激派組織「イスラム国」(IS)の支配下では貴重な文化遺産も破壊されたという。脱出した避難民からは残虐な住民支配の実相が伝わる▲イラク軍などによる奪回作戦が最終局面を迎えたモスルである。住民を「人間の盾」としたISの抵抗も伝えられる一方、難民にまぎれて脱出するメンバーもいるという。一方、ISの首都というシリアのラッカも陥落は近いようだ▲中東では領域支配の終わりが見えたISだが、遠くフィリピンのミンダナオ島はIS系組織の新たな攻勢にさらされた。地元のイスラム武装勢力に加え国内のIS支援組織、外国人戦闘員を糾合した5月からのマラウイ市侵攻だった▲山中を拠点にしてきたイスラム武装勢力が都市制圧に乗り出した背景にはやはりISの国際的戦略があるのか。ドゥテルテ政権の掃討作戦はインドネシアやマレーシアなどISの浸透が懸念される東南アジア諸国も息を詰めて見守る▲何やら地球規模のモグラたたきのようだが、真に恐るべきはその領域支配や見た目の軍事力ではあるまい。世界中に拡散する悪意、人々の日常生活にひそむ憎悪を封じねばならない“ISとの戦い”の今後だ。

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