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安倍政権と官僚組織 過剰な情報統制をただせ

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 東京都議選での自民党敗北の一因は、官僚組織に対する安倍政権の過剰な情報統制と見られている。

 政権に不都合な文書の存在を認めない。確認されると内容がうそだと言う。さらに都合の悪い情報に「守秘義務」の網をかぶせようとする。

 安倍晋三首相が「反省」を口にするなら、こうした「政と官」のゆがみを正さなければならない。10日に行われる予定の閉会中審査でまずそれが試される。

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設に絡み、萩生田光一官房副長官が、文部科学省幹部に手続きを急ぐよう迫ったことを示す文書が判明した。その後、萩生田氏は「正確性を欠いたものとのおわびが文科省からあった。強い憤りを感じている」とコメントし、官僚批判を展開した。

 全体の奉仕者である公務員は、政治家とは立場が異なる。官僚作成の文書が政治家の意のままにならなくてもおかしくはない。

 不都合な内容だからといって政治家が一方的に官僚を攻撃するのは身勝手ではないか。

 これに先立って、義家弘介副文科相が、国家公務員法(守秘義務)違反を持ち出して、職員をけん制するかのような発言をしたのも不見識だった。「総理のご意向」と書かれた文書の存在を告発した職員が公益通報者に当たるかを国会で質問された際の発言だ。

 組織の不正を告発する手続きなどを定めた公益通報の制度と、守秘義務違反は、全く別の問題であり、論点のすり替えと言うしかない。

 刑罰もある守秘義務違反を問うハードルは高い。最高裁の判例では、罪が成立するのは、保護に値する秘密情報を漏らした場合だけだ。国家戦略特区をめぐる議論の過程は秘密ではないはずだ。

 一方、公益通報者保護法は、通報対象を刑事罰がある刑法など460の法律違反に限定している。それでも法律違反に限らず通報対象を幅広くとらえるのが法の精神だ。公文書の作成や公益通報など広く公共の利益にかかわる問題への政権の感度が問われている。

 萩生田氏は内閣人事局長として、今夏の官僚人事にもかかわっている。人事権によって行政をゆがめることは許されない。

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