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北朝鮮「ICBM成功」 危険極まりない挑発行為

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 落下地点に漁船がいなかったのは偶然にすぎない。

 北朝鮮がまた日本海へ向けてミサイルを発射した。日本の排他的経済水域(EEZ)への落下は昨年8月からの1年弱で既に5回にもなる。

 北朝鮮国営メディアは「特別重大報道」として、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の発射に成功したと発表した。「核兵器と共に世界のどの地域も攻撃できる最強のICBM」だと主張している。

 北朝鮮の発表によれば、ミサイルは高度2802キロまで上昇し、933キロ先に着水した。5月に発射された「火星12」より約700キロ高い地点まで上昇したことになる。

 通常より高角度で打ち上げる「ロフテッド軌道」と呼ばれるものだ。2000キロを超える地点からの落下速度はマッハ15を超えるとされ、海上で逃避できるものではない。

 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は年初から、ICBM開発が最終段階にあると表明してきた。金委員長の指示を完遂したと国内にアピールする狙いがあるのだろう。

 国際社会の制止を無視して核とミサイルの開発を続ける北朝鮮の身勝手な行動は、決して許されない。特に、日本海へ向けた相次ぐミサイル発射は危険極まりない行為だ。

 昨年から数えても北朝鮮は30発以上の弾道ミサイルを予告なしで日本海へ向けて発射してきた。

 日本海では日本や韓国など各国の漁船が操業している。上空には日本と欧州を結ぶ航空路が設定され、毎日100機近い旅客機が通過する。漁船や航空機にミサイルが衝突したら大惨事になってしまう。

 北朝鮮の弾道ミサイル着弾を想定した避難訓練が、今年3月に秋田県男鹿市で初めて行われた。その後、日本海側を中心に多くの自治体が訓練を行うようになった。日本国内での不安の広がりを反映した動きだ。

 不安心理は北朝鮮に対する世論をより悪化させる。北朝鮮はその点をきちんと認識すべきである。

 北朝鮮が米本土に達するミサイルを本当に開発すれば、米国は強い対応を取るだろう。そうなれば朝鮮半島を巡る軍事的な緊張が一層高まってしまう。国際社会は協力して、北朝鮮に核・ミサイル開発の断念を迫らねばならない。

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