安楽死が合法化されているオランダで、健康上の問題はなくても「生きるのに疲れた」などと訴える高齢者に、安楽死の適用を広げようとする政府案が波紋を呼んでいる。反対声明を出した王立オランダ医師会のルネ・ヘマン会長に聞いた。【ユトレヒト(オランダ北部)で八田浩輔】
Q なぜ反対を?
A まず始めに、現行の安楽死法は非常に効果的に機能している。きめ細かく透明性があり、(事後)検証が可能で、患者にとっても医師にとっても安全だ。そして社会の広範な支持がある。よって我々は良い状態で履行されている現行制度の維持が大事だと考えた。現行法は適用性も広い。特定の疾患がなくても高齢による衰弱は(安楽死の条件である)不治や耐えられない苦痛とみることもできる。その場合は現行法に該当するだろう。
政府案は既に社会に影響をもたらした。我々は人生の終盤を迎えた人々が危険を感じたり、肩身が狭く感じたりすることを非常に懸念している。年を取って働くことができなくなり、年金受給の資格を得ることを引け目と感じさせる圧力にしてはいけない。政府が圧力をかけているとは思わないが、今回の提案は逆効果を生む。(高齢者が)そのように感じることから社会が守らなければいけない。我々は医療現場で年を重ねて孤独を感じ、生…
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