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/4 周囲が変える障害の重さ 想像力をたくましくしよう

日本障害者協議会代表、藤井克徳さん=東京都中野区のきょうされん全国事務局で2017年6月27日、望月麻紀撮影

NPO法人日本障害者ほうじんにほんしょうがいしゃ協議会代表きょうぎかいだいひょう 藤井克徳ふじいかつのりさん

 藤井克徳ふじいかつのりさん(67)は障害しょうがいがあるひとたちがらしやすい社会しゃかい実現じつげんを、障害者団体しょうがいしゃだんたいのリーダーとして、法律ほうりつ制度せいどととのえるよう政府せいふなどにもとめてきました。自身じしん障害しょうがいがあります。相模さがみ原障害者施設殺傷事件はらしょうがいしゃしせつさっしょうじけんから1ねん事件じけんわすれられそうな風潮ふうちょう心配しんぱいしています。【まとめ・望月麻紀もちづきまき

    わすれることも差別さべつ

     事件じけんでは重度じゅうど障害しょうがいがある19にんものいのちうばわれました。(刃物はものによる死者数ししゃすうで)戦後最悪せんごさいあく事件じけんわれながらも、半年はんとしたったころから、社会しゃかいきゅう事件じけんからとおざかってしまったというのが実感じっかんです。

     事件じけんから2か月間げつかん知的障害ちてきしょうがいのあるひとたちから電話でんわがひっきりなしにかかってきました。「こわい」とうったえる内容ないようでした。事件じけんこした被告ひこく施設しせつ元介助者もとかいじょしゃだったことから、不安ふあんしたようです。被告ひこく事件前じけんまえ精神科せいしんか入院にゅういんしていたことから、「精神障害者せいしんしょうがいしゃたいする社会しゃかい偏見へんけんすのではないか」と不安ふあんおもう、障害しょうがいのある本人ほんにんからの電話でんわおおかったです。1ねんたちますが、いま相談そうだん電話でんわはかかってきます。

     でも、はやくも事件じけんわすれられようとしている。これも障害者差別しょうがいしゃさべつではないでしょうか。くなった19にんのためにも、社会全体しゃかいぜんたい事件じけんつづけることが必要ひつようです。

    社会しゃかいひそ優生思想ゆうせいしそう

     この事件じけんは、特別とくべつ個人こじんによる事件じけんです。しかし、それだけではまされません。かれはこの社会しゃかいそだってきたのですから、かれ言葉ことば行動こうどうは、社会しゃかいひそんでいる優生思想ゆうせいしそう後押あとおしされたものです。

     優生思想ゆうせいしそうというのは、優秀ゆうしゅうなものだけのこそうというかんがえです。差別さべつ偏見へんけんだれもがっています。自分じぶん障害者しょうがいしゃにはならないと錯覚さっかくしているのです。

     第二次大戦中だいにじたいせんちゅうには、ドイツのナチス(ヒトラーがひきいた政党せいとう)が「きる価値かちのない生命せいめい」だとして、障害者しょうがいしゃ20万人まんにん抹殺まっさつしたことがありました。T4作戦さくせんばれています。医師いし看護師かんごしみずかすすんでかかわりました。市民しみんづいていたのに、ぬふりをしていました。

     自分じぶんなかにある差別さべつ偏見へんけんえず葛藤かっとうしたり、友達ともだち議論ぎろんしたりして、想像力そうぞうりょくをたくましくする必要ひつようがあります。そのためには、障害しょうがいのあるひとせっすることです。お年寄としよりや外国人がいこくじん、ベビーカーをすおかあさんでもよいのです。身近みぢかにいる、自分じぶんとはちがひとせっすることが大切たいせつです。

    障害者しょうがいしゃのぞ社会しゃかいよわくてもろい

     ところで、みなさんのまわりに障害しょうがいがあるひとはいるでしょうか。事件じけんねらわれたのは、施設しせつ入所にゅうしょしているおも障害しょうがいがあるひとたちでした。

     障害者しょうがいしゃ地元じもときとらしていけるようにするのか、とおくの施設しせつあつまってらすようにするのか。くに政策せいさく水準すいじゅん(レベル)が、障害者しょうがいしゃたいする人々ひとびと見方みかたをつくるのです。

     ぜひ、ってほしいことがあります。障害者権利条約しょうがいしゃけんりじょうやくという世界せかいのルールがあります。「すべての障害者しょうがいしゃは、こころからだがそのままの状態じょうたい尊重そんちょうされる権利けんりがある(だい17じょう)」などとさだめています。障害しょうがいとはなにかについても説明せつめいしています。えない、みみこえない、という本人ほんにんがもっている障害しょうがいくわえ、とりまく環境かんきょうによっておもくも、かるくもなるとしています。どものみなさんをふくめたひと態度たいど環境かんきょうが、障害しょうがいおもさを変化へんかさせるのです。

     この条約じょうやくは、日本にっぽんれています。そのために、障害者基本法しょうがいしゃきほんほう障害者差別解消法しょうがいしゃさべつかいしょうほうなども整備せいびされてきました。しかし日本にっぽんではとかく、市民しみん法律ほうりつができると安心あんしんしてしまいます。法律ほうりつというのは、使つかわないとたちまちさびいてしまいます。

     障害者しょうがいしゃ社会しゃかいよわくてもろいものです。ぎゃくに、障害者しょうがいしゃ大事だいじにされる社会しゃかいだれもがみやすい。どものみなさんがもつ柔軟性じゅうなんせいゆたかな想像力そうぞうりょくにこそ、大人おとなにはない、差別さべつをなくす糸口いとぐちがあるのではないでしょうか。期待きたいしています。=つづく


     □プロフィル

     1949年福井県生ねんふくいけんうまれ。東京都立小平養護学校とうきょうとりつこだいらようごがっこう現在げんざい都立小平特別支援学校とりつこだいらとくべつしえんがっこう)の先生せんせいめて、全国初ぜんこくはつ精神障害者せいしんしょうがいしゃ共同作業所きょうどうさぎょうしょ開設かいせつ共同作業所きょうどうさぎょうしょ全国組織ぜんこくそしき「きょうされん」専務理事せんむりじ


     ■ことば

    障害者権利条約しょうがいしゃけんりじょうやく

     障害しょうがいがあるひともないひとも、みんなが大切たいせつにされる社会しゃかい目指めざして、2006ねん国連こくれんまれた世界せかいのルールです。社会しゃかい差別さべつ偏見へんけんをなくし、ただきるのではなく、障害しょうがいがあるひともそれぞれのかた大切たいせつにされなければならないとしています。日本にっぽんは、障害者団体しょうがいしゃだんたいが「障害者しょうがいしゃ意見いけんき、法律ほうりつ制度せいどととのえてから条約じょうやく批准ひじゅん承認しょうにん)を」ともとめ、国連加盟こくれんかめい193か国中こくちゅう141番目ばんめ批准ひじゅん条約じょうやくまもることにくにとして同意どういすること)しました。

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