メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

余録

「銭形平次捕物控」の…

 「銭形平次捕物(ぜにがたへいじとりもの)控(ひかえ)」の作者、野村胡堂(のむらこどう)はレコード収集家として名高く、「あらえびす」の筆名で音楽評論でも活躍した。2万枚に及ぶコレクションで家が壊れたという話があるが、当人によればそれはデマだった▲ただレコードそのものが輸入盤で、米1俵が8円20銭の時代に1枚20円もしたという。胡堂は酒もたばこもやめて毎月の新聞社の給料すべてをレコードの購入に費やした。暮らしの経費は教師をしていた妻の収入に頼っていたそうだ▲そのレコードを聴くため当時の宮様や華族、財閥の子弟らが来訪したが、胡堂はレコードの買えない貧乏学生たちもよく招いた。収集が楽になったのは日本のレコード会社が輸入母盤のプレスを始めたころだから、昭和の初めだろう▲で、またレコードの生産が始まるという話だが、こちらは現代である。ソニーが約30年ぶりにレコードの自社生産を再開する。背景にはむろんアナログレコードの世界的な人気再燃があり、ソニーは収録から製造まで手がけるという▲かねて音質の温かみが評判だったレコードだ。近年は内外の音楽家が新盤をレコードでも発売し、昨年の国内生産枚数は8年前の8倍になった。かつてレコードを駆逐したCDが音楽配信による売り上げ減をかこつ中での復活である▲手ざわりも姿形もない配信データだけでは満たせない音楽コレクターの興趣というものがある。もしかしたら演奏する手間もレコードの魅力かもしれない。ここはあらえびすの意見も聞いてみたかった。

    おすすめ記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 埼玉・川口の小学校でクルド人いじめ深刻 支援者「特別視せず平等に対応を」 
    2. イヌサフラン誤って食べた男性が死亡 群馬・渋川
    3. 九州新幹線にミッキーデザイン登場 5月17日から半年の期間限定
    4. アクセス NGT48・山口真帆さん卒業表明で運営側への批判再燃 識者は「最悪の幕切れ」
    5. 漫画で解説 クルド人ってどんな人たち?の巻

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです