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はやぶさ2

探査機「はやぶさ2」がリュウグウで試料を採取して持ち帰る6年の旅を完遂。分析や次のミッションを解説。

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はや2くんの冒険日誌

(2)兄の困りごと教訓に機体にさまざまな創意工夫

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はや2くんのチャームポイントである2枚のアンテナは、1枚は通信できるデータの量がこれまでの4倍にもなる=イラスト・小野瀬直美
はや2くんのチャームポイントである2枚のアンテナは、1枚は通信できるデータの量がこれまでの4倍にもなる=イラスト・小野瀬直美

 それでは、ぼくの弟、はや2くんの具体的な紹介を始めよう。 

 はや2くんは基本的にぼくとよく似ている。実験のための工学試験機だったぼくの経験を生かして、今度は小惑星の探査に集中することができるようにね。もちろん、ぼくの旅路で明らかになった問題点や心配な点はできる限り手直しをした。また、2003年にぼくが旅立ったあとに開発された新しい技術も、入念なチェックをして組み込まれたよ。それから、はや2くんを打ち上げるロケットは、ぼくを打ち上げたものよりも力持ちだから、はや2くんはぼくよりもちょっとだけ、大きくて重いんだ。

 小惑星リュウグウに向かう、はや2くんへの最大のプレゼントは、ぼくの経験の記録ともいえる。小惑星イトカワに行き、観測をして、サンプルを拾い、地上に持ち帰るというぼくの旅は、初めてのことばかりだった。だから、研究者たちは、ぼくに起こったことやぼくの動きとその結果のすべてを、可能なかぎり記録して分析した。例えば、太陽の向きと発電量の関係や、機体の温度分布、リアクションホイール(ぼくの姿勢や向きを変える…

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【はやぶさ2】

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