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舞台評

七月大歌舞伎 あふれる殺しの美学

 大阪松竹座で上演中の七月大歌舞伎は、昼夜に殺しの場面が山場となる演目が並ぶ。主人公がほとばしらせる悪に魅了されてしまうのは、我々が心に隠すものを歌舞伎の様式美が呼び覚ますせいか。

 昼は、大坂・高津宮の夏祭りが背景の「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」。じっとりした暑さの中、市井の侠客(きょうかく)の意気地を描く。恩人の息子を救おうとする団七九郎兵衛(市川染五郎)は、義兄弟の一寸徳兵衛(尾上松也)と奔走するが、それを妨げる強欲な舅(しゅうと)・義平次(嵐橘三郎)をはずみで殺してしまう。泥の中で舅を手にかける場面は、凄惨(せいさん)な見得(みえ)と背景を行く明るい山車の対照が、人間の運命の皮肉を映して切ない。染五郎の団七は初役。夏の熱気を払う、すっきりとした風姿だ。東…

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