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社説

電通事件、正式裁判へ 過重労働の一掃に向けて

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 過重労働に対して厳しさを増す社会の目を、裁判所が強く意識したのだろう。

 広告最大手・電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺した事件について、東京簡裁が、労働基準法違反(長時間労働)で電通を略式起訴した検察の処分を「不相当」とした。

 略式手続きの場合、公開の裁判は開かれない。だが、今回の判断を受け、法人としての電通は正式起訴され、裁判は公開の法廷で行われる。

 公判では、検察側の証拠が明らかになるうえ、電通側代表者の被告人質問も行われる。労務管理の実態や違法残業の背景が、つまびらかにされる可能性がある。裁判所の判断は妥当と考える。

 高橋さんの残業時間は過労死ライン(月80時間)を大きく超える105時間だったと、労働基準監督署は認定した。捜査は本社だけでなく、大阪などの支社にも及び、電通の違法残業の全容解明が望まれた。

 電通では1991年にも入社2年目の社員が過労自殺した。2010、14、15年には労基署から長時間労働の是正勧告を受けた。

 だが、労働環境は一向に改善されなかった。だからこそ、改まらない企業体質や、幹部らの旧態依然とした意識について、公判で原因解明する必要がある。

 検察は、高橋さんの当時の上司らについて、残業の強制などは確認されず、悪質性はないと判断し、起訴猶予とした。一方、法人としての電通については、会社側が違法な残業を防ぐための体制の不備を認めたため、刑事責任を問えると判断した。

 事件を略式で済まそうとしたのは、同じような過去の労働事件の例にならったからだ。

 だが、過重労働の問題をこれ以上放置できないという世の中の流れが強まり、裁判所も姿勢を変えてきた。今年に入って裁判所は、厚生労働省の過重労働撲滅特別対策班が捜査した別の事件でも、検察の略式起訴を「不相当」と判断した。

 違法な長時間労働の慣行は、今も多くの企業に残っている。企業に違法行為をやめさせ、法令順守を徹底させる必要がある。今回の裁判を、企業に根強い「常識」を根底から変える契機としなければならない。

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