メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

長部日出雄の映画と私の昭和

「ひまわり」(イタリア、フランス、ソ連・1970年)

ひまわり畑を通り抜けるソフィア・ローレン演じるジョバンナ。ウクライナ大使館によると、ひまわり畑のシーンは、ウクライナ(当時はソ連の共和国)の首都キエフから南に約500キロのヘルソン州で撮影されたという。ブルーレイ(KADOKAWA、5184円)とDVD(エスピーオー、3024円)が発売中。発売元はともにIMAGICA TV

 東京でやっていたフリーライターや映画評論などの仕事を一切やめて、津軽を舞台に小説を書こうと、1970(昭和45)年の初頭に私は郷里の青森県弘前市に帰り、町外れの小さな借家で暮らし始めた。

 津軽中を取材で歩き回る合間に、問題作の上映館へ行くと、大体がらがらに空(す)いているのに愕然(がくぜん)とした。わが国の映画館入場者数が3億人台を割って戦後最低にまで減少したことは知っていたが、前年は試写室に通って実感がともなっていなかったので、映画衰退の現状を目の当たりにしてうそ寒い気持ちに駆られずにはいられなかった。

 だがこの年の秋、空席の多い館内で映画全盛時代にも見たことがなかったほど豊潤な充実感に満ちた作品に出合う。ヴィットリオ・デ・シーカ監督、マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレン主演の伊・仏・ソ連合作映画「ひまわり」だ。その制作陣の顔ぶれがいかに豪華か、約半世紀前の映画だから知らない人もいると思うので簡単に説明すれば、監督のデ・シーカは「靴みがき」や「自転車泥棒」など、敗戦直後の焼け跡を舞台に…

この記事は有料記事です。

残り1292文字(全文1748文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「ウイルスある程度まん延」専門家が読む北九州の現状 他都市も再燃警戒

  2. 松尾貴史のちょっと違和感 早朝だけのゴミ収集 夜間にすると暮らしやすくなる

  3. 「警官に押さえ込まれけが」 渋谷署前で200人が抗議デモ クルド人訴えに共鳴

  4. 新型コロナ 国定額給付金 郵送申請分を含め東部4市支給開始 /山口

  5. 釧路、根室で震度4 震源は十勝沖、津波の心配なし

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです