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川開きは納涼の季節の訪れを祝って7月半ばごろから各地で行われる。水難者を供養し、事故の防止を願う意味もある。中でも隅田川の川開きは有名で、江戸中期以降は花火が打ち上げられ、庶民の人気を呼んだ▲明治から昭和にかけて活躍した作家、幸田露伴(こうだろはん)に「水の東京」という随筆がある。「東京広しといへども水の隅田川に入らずして海に入るものは赤羽川と汐留(しおどめ)堀とのほか幾許(いくばく)もなし。されば東京の水を談(かた)らんには隅田川を挙げて語らんこそ実に便宜多からめ」▲東京の川といえば露伴の言う通り隅田川である。2020年東京五輪・パラリンピックも見すえ、水辺に船着き場やテラスを整備する計画を都や民間事業者が進めている。「水の都」として外国人観光客に魅力を発信するという▲水の都は復活するか。露伴には都市文明論とも言うべき「一国の首都」という作品もある。江戸のよさが失われていくのを憂えている。「江戸児(えどっこ)が江戸を愛したる如(ごと)き、燃ゆるが如き意気熱情を以(もっ)て今の市民は我が東京を愛せるや、否や」▲東京の将来は市民の愛情にかかっていると訴えた。地方出身者が多い今の都民は戸惑うかもしれないが、かつての風情が戻ればきっと愛着もわく▲露伴の娘の幸田文(あや)も、生まれ育った隅田川べりを舞台に小説を書いた。花柳(かりゅう)界の華やかな暮らしの裏に流れる悲しみやはかなさを描いた「流れる」、早世した弟への愛惜をつづった「おとうと」……。水の都の繊細な物語に、ありし日の東京がしのばれる。
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