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第5部 死と向き合う/1 「葬式代ない」妹に隠し 父の遺体放置、有罪判決

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茶封筒に入れた父親の遺骨(左上)を仏壇に置き、「父さん、ごめんなさい」と語りかける男性=東京都で2017年6月、宮本明登撮影(画像の一部を加工しています)
茶封筒に入れた父親の遺骨(左上)を仏壇に置き、「父さん、ごめんなさい」と語りかける男性=東京都で2017年6月、宮本明登撮影(画像の一部を加工しています)

 

 いつものように朝からハローワークをのぞいたが、この日もいい仕事はなかった。昨年5月下旬、東京都内に住む男性(55)が帰宅すると、84歳になる父親が布団の脇であおむけに倒れていた。慌てて脈をみたが、既に亡くなっていた。父親と2人で暮らす古びた家の和室で、男性は急に不安に襲われた。

 「葬式代が払えないなんて格好が悪い」。近くに住む唯一の肉親の妹に知らすことができなかった。正社員だとうそをつき、見えを張っていたからだ。実際は日雇いのアルバイト生活で、蓄えは3万円ほど。父親の貯金もほとんどなく、13年前に病死した母親の葬儀に200万円かかったことが頭から離れなかった。

 すぐに湯を沸かし、ぬれタオルで遺体は拭いたが、後は途方に暮れるだけだった。「お父さん、申し訳ない」と心の中で叫ぶだけで、日にちだけが過ぎていった。「今日こそ警察に話そう」。葛藤をよそに遺体は傷み、芳香剤を置き殺虫剤も吹きかけた。外出には和室を通らなければならない。怖くて遺体を見ないようにして過ごし、2カ月半が過ぎた。

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