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武田 砂鉄・評『あたらしい無職』丹野未雪・著

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淡々と、でも必死にわたしは生きている

◆『あたらしい無職』丹野未雪・著(タバブックス/税別1400円)

 この本がどういう本かというと、会社を辞めて無職になって、就活してもう一回会社に勤めたけれど、再び辞めて無職になる話だ。淡々と続く毎日を紡いでいく。淡々と、とはいうものの、その淡々には、リズムがある。時には不整脈のようにリズムが突如として乱れることもある。「理想を具体的に体現している人を目の前にすると、自分がいなくていいような気がする」と立ち止まってしまう日もあれば、「さあ、今月も無職だ」と無闇(むやみ)に意気込む日もある。

 40歳を過ぎ、未婚、ひとり暮らし。非正規雇用、雇い止め、ハローワーク通い、友達への借金……そんな日々に浮上してくるのは、諦めだったり野心だったり憤怒だったり、その日ごとに違う。編集者・ライターとして出版業界を渡り歩いてきた著者は、目の前で起きたことへのわだかまりをしっかり表明していく。このご時世、どうやらそうやって表明せずに隠したほうがうまくやっていけるらしいけれど、うまくやるために嘘(うそ)を…

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