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SUNDAY LIBRARY

池内 紀・評『ユリシーズ航海記』柳瀬尚紀・著

世界で最も厄介な物語と格闘した全身翻訳家

◆『ユリシーズ航海記 「ユリシーズ」を読むための本』柳瀬尚紀・著(河出書房新社/税別3200円)

 英文学者でジョイスの翻訳で知られる柳瀬尚紀は、昨年七月亡くなった。一周忌を待っていたかのように美しい一冊が世に贈られた。『ユリシーズ』に関する文章を集め、最終章「ユリシーズ13-18 試訳と構想」に訳稿が二つ。第十五章にあたる[キルケー]には(遺稿)とそえられている。編集者の注によると、死の前日の早朝まで取り組んでいたという。

 柳瀬尚紀訳『ユリシーズ』は全十八章のうち、第十二章までが『ユリシーズ 1-12』として先に刊行をみ…

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