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社説

登録続く日本の世界遺産 制度の将来も考える時だ

 「神宿る島」の登録を機に、世界遺産の今後のあり方を考えたい。

     福岡県の玄界灘に浮かぶ沖ノ島と関連遺産群が、世界文化遺産に登録されることになった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が資産の一部を除外するよう勧告していたが、外交交渉で覆した。

     日本の登録は5年連続で、文化遺産17、自然遺産4の計21件になる。

     沖ノ島には、4~9世紀の祭祀(さいし)跡がほぼ手つかずで残る。朝鮮半島や中国からもたらされた奉献品が出土し、「海の正倉院」とも称される。

     諮問機関から登録を認められたのは、推薦した8資産の半数だった。

     日本は、沖ノ島の古代祭祀が現在の宗像(むなかた)大社信仰まで連続していると訴えた。逆転の一括登録を果たした関係者の努力に敬意を表する。

     今月下旬には、早くも2019年の登録候補を決める文化審議会が開かれる。推薦の前提となるリストは9件にのぼる。このうち、完成度の高い1件を選ぶ見通しだ。

     世界遺産の登録総数は1000件を超えた。著名な遺産はすでに登録され、近年は各国とも評価が難しい複雑な候補が目立つようになった。

     このまま増やして適切な保護ができるのか。「顕著な普遍的価値」を維持するため登録の上限を設けるべきか。世界遺産委員会は真剣に検討する時期に来ている。

     文化庁も制度が岐路を迎えていることを認める。20年からは、1国の推薦枠が年1件に制限されることになった。政府と自治体は内容をさらに練る必要があるだろう。

     世界遺産は観光に直結してきた。関心が高まり、地元住民が遺産の価値を確認する意味は大きい。寄付などで保護活動を支える面もある。

     その半面、合掌造り集落で知られる白川郷では観光バスの増加などが景観の悪化を招いたことがあった。登録直後に客が増えても、ほどなく減少に転じた遺産は少なくない。

     今回登録が決まった沖ノ島では、上陸を原則的に禁じてきた。一方、外国人客を呼び込むため、多言語で宝物を紹介するアイデアなども出ている。静かに遺産を見守りながら、価値を伝える工夫をしてほしい。

     世界遺産の目的は人類共通の宝を国際協力により未来に引き継ぐことにある。その原点を確認したい。

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