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社説

日野原重明さん105歳で逝く 長命社会に希望ともした

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 予防医学や終末期医療に尽くした聖路加国際病院名誉院長の日野原重明(ひのはらしげあき)さんが亡くなった。100歳を超えても現役の医師として働き、長命社会をどのように生きるかについて身をもって示した人だった。

 世界の先端を走る日本の高齢化はこれからが本番だ。日野原さんがともした希望の灯を社会全体で受け継ぎ、広めていかねばならない。

 日野原さんが予防医学の重要性を訴え、民間病院として初めて人間ドックを開設したのは1954年。脳卒中や心臓病などの成人病を「生活習慣病」と提唱したのは70年代だ。その後、食生活や運動などの重要さに注目が集まるようになり、厚生省(当時)が正式に「生活習慣病」の呼称を採用したのは96年である。

 日本の医療は専門分野ごとに細分化されてきた。それに対し日野原さんは患者中心の医療を訴え、地域に密着した医療の再構築に努めた。

 75歳以上の後期高齢者は増え続ける。複数の慢性疾患を持つ高齢者の急増に対応するには、日野原さんの理念を生かした医療体制に変える必要がある。

 戦時中は東京大空襲の被災者の救済に奔走し、乗客として遭遇した「よど号事件」(70年)では機内で人質のケアに当たった。地下鉄サリン事件(95年)では多数の負傷者が運び込まれた聖路加国際病院で院長として陣頭指揮を執った。

 こうした体験から、平和や命の大切さを伝える教育にも力を入れるようになった。各地の小中学校で開催してきた「いのちの授業」は200校を超える。指揮者の小澤征爾(おざわせいじ)さんと広島で平和コンサートも開いた。

 何歳になっても常に新しいことに挑戦した。童話「葉っぱのフレディ」のミュージカル用の脚本を書き、ニューヨーク公演を実現させたのは98歳の時だ。老いのあり方を説いた著書「生きかた上手」(2001年)はベストセラーになった。

 世界各国で平均寿命は延び続けている。長い老後をどのように生きるかは現代人の切実な課題だ。

 元気に自立生活ができる「健康寿命」を延ばすとともに、夢や生きがいを持ち続け、社会に貢献することの大切さを示したのが日野原さんだ。その軌跡は超高齢社会を生きる人々の指針となるだろう。

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