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第5部 死と向き合う/3 献体は「一石三鳥」

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故郷の鹿児島にいる母親らを思い、写真に語りかける小田潤一郎さん=愛知県知多市で、木葉健二撮影
故郷の鹿児島にいる母親らを思い、写真に語りかける小田潤一郎さん=愛知県知多市で、木葉健二撮影

 関西にある大学の医学部の地下室。アルコールやホルマリンで防腐処置された遺体が、ロッカー式の個室の中で安置されている。常に100体ほどが冷蔵保管されており、解剖実習の時を待つ。

 愛知県知多市の小田潤一郎さん(73)は約3年前、県内の大学に通う医・歯学部生の解剖実習用に自分の遺体を提供する「献体」の登録をした。「家族を幸せにできなかった。死んだ後ぐらい社会の役に立ちたい」と考えたからだ。

 小田さんは鹿児島県の農村で生まれ、5人きょうだいの長男。地元の高校を卒業後、単身で名古屋市に移り住み、建設会社に就職して結婚し、長女が生まれた。夢だった一軒家も建てたが、幸せな日々は続かなかった。30代で始めた建築会社はうまくいかず、消費者金融から数百万円を借り、マイホームも5年で手放した。妻とけんかが絶えずに離婚し、幼い長女は妻に引き取られ、それ以降はずっと1人暮らしだ。

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