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社説

来年度予算の要求基準 危機を直視しているのか

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 国と地方の借金が1000兆円を超すという危機的な状況にきちんと向き合っているとは思えない。

     政府は来年度予算の概算要求基準を閣議了解した。歳出全体の上限は5年連続で定めなかった。新たな成長戦略「人づくり革命」の関連施策に手厚く配分する方針も示した。

     基準は本来、予算の膨張に歯止めをかけるためにある。財政健全化目標の達成は極めて厳しく、歳出抑制の重要性は増している。このままでは健全化は遠のくばかりだ。

     上限を定めないのは、安倍政権が経済成長による税収増をあてにしているためだ。だが税収は伸び悩んでいる。昨年度は7年ぶりに減少し、追加の赤字国債発行を余儀なくされた。成長頼みは行き詰まっている。

     では歳出を抑制するかというと、本腰を入れていない。むしろ財政出動を繰り返してきた。基礎的財政収支を2020年度に黒字化するという健全化目標の達成は絶望的だ。

     黒字化は、社会保障などの政策経費を新たな借金に頼らずにまかなえることを示す。内閣府の試算では、現状より高い成長が続いても、20年度は8兆円超の赤字が残る。

     概算要求基準は、予算を重点配分する特別枠を毎年設けている。今回は4兆円程度を用意し、人づくり革命関連の人材投資などを認める。

     特別枠はこれまで従来策の焼き直しに過ぎない事業も紛れ込んできた。人材投資にかこつけた要求が相次ぎ、ばらまきに陥る恐れがある。

     また、人づくり革命の柱に位置づける教育無償化は、特別枠とは別に検討するとの方針を示した。幼児教育と保育の無償化だけで1兆円超が必要とされる。財源も議論するとしているが、めどはたっていない。

     政府は先月、新たな健全化目標を設けた。歳出を減らさなくても経済成長すれば健全化が進んだとみなせる指標だ。基礎的財政収支の黒字化を棚上げする布石との見方がある。

     しかし、黒字化は、政府が国内外に約束してきたものだ。財政規律を軽視するようでは無責任だ。

     政府の危機感が乏しいのは、国債の金利が極めて低いからだ。日銀はきのう金利水準を抑え込んでいる大規模な金融緩和策の継続を決めた。デフレ脱却どころか、野放図な財政運営を助長するだけではないか。

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