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社説

文政権の「慰安婦」事業計画 世論あおらぬ配慮が必要

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 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が「国政運営5カ年計画」を発表した。100のテーマについて、自らの任期中に取り組む課題を示している。

     目を引くのは、男女平等政策の一環として慰安婦問題に関する事業を盛り込んでいることだ。

     「慰安婦の日」を来年制定し、19年に研究所、20年に歴史館を設置するという。記念日には、1991年に元慰安婦が初めて実名で記者会見した「8月14日」を想定しているようだ。

     この日は、慰安婦問題で韓国世論に大きな影響力を持つ韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)が記念日にするよう求めてきた。

     自国の歴史にこだわることは理解できる。しかし、慰安婦問題に関しては特別な慎重さが必要だ。

     韓国政府が挺対協の要求を受け入れる形になれば、慰安婦問題を巡る一昨年の日韓合意に反対する挺対協の運動を勢いづけることになる。

     しかも韓国外務省は「合意の検証」を行おうとすることで、合意に対して否定的な印象を与えている。

     政府が解決を確認しても、感情的しこりは日韓双方に残っている。韓国の世論が高まれば、日本の世論も強く刺激されて感情的対立が再燃しかねない。

     一方で計画は、対日政策について「未来志向で成熟した協力パートナー関係の発展」をうたった。北朝鮮の核・ミサイル問題などでの協力は歴史問題と切り離すという。

     慰安婦問題を巡る対立で極度の関係悪化を招いた朴槿恵(パククネ)前政権の轍(てつ)は踏まないという姿勢だ。

     対北朝鮮政策での日米韓連携に悪影響を与えると懸念された日韓関係に転機をもたらしたのが、慰安婦問題の合意だった。合意はいまや連携の基盤である。

     文氏は大統領就任後、選挙公約だった「合意の再交渉」という言葉を使っていない。慰安婦問題の難しさを考慮した賢明な判断だ。

     しかし、今回の計画に盛り込まれた事業からは日韓関係に対する配慮をうかがうことができない。

     元慰安婦の7割は合意に基づいて設立された事業を受け入れている。文政権はこうした事実を明確に示し、合意の意義を国民に説いていくべきであろう。

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