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夏から秋はキャンプや登山などのレジャーに適した季節だ。大自然の中で、日ごろの便利な暮らしから離れて過ごす野外活動は、災害時に役立つ知恵や技術を楽しく学べる機会でもある。アウトドアの道具は避難生活に役立つことも多く、レジャーを楽しみつつ災害に備える「一石二鳥」を狙ってみてはどうだろうか。
●キャンプで学ぼう
「これでロープは絶対に外れない。じゃあ、今度は1人でやってみよう」。神戸市中央区の公園で先月、NPO法人「プラス・アーツ」が開いた、災害を生き抜く技を身に着けるキャンプイベント。「ロープワーク」のコーナーでは、集まった子供たちがスタッフの指導を受け、真剣な表情で太さ3センチの縄をパイプに結び付けていた。
会場には木と縄を使って摩擦で火をおこし、その火で焼いたマシュマロを食べるコーナーも設けられた。火おこし体験に参加した神戸市西区の小学1年、高月拓真さん(6)は「こんなふうに火をおこしたのは初めて。大変だったけど、ちゃんと火が付いてうれしい」と笑顔を見せた。
プラス・アーツは2006年、防災などに取り組むため同市で設立され、「災害時に必要なことは、ほぼキャンプで学べる」を合言葉に親子向けのイベントを開いてきた。災害時も役立つ技術を覚えた子供に、バッジをプレゼントする仕組みが人気を集める。
岩根裕子チーフスタッフは「最近はマッチをすったことがない子も珍しくない。災害を生き抜く力を意識して育てる必要がある」と指摘。「防災」より「キャンプ」を前面に出す方がイベント参加率は高くなるといい、「楽しんで覚えたことは簡単には忘れない。子供たちが進んでやってみたいと思うよう工夫したい」と話す。
●冷静に避難生活
キャンプ・登山用品を製造販売する「モンベル」(大阪市西区)は、1995年の阪神大震災以降、アウトドア用品が災害でも役立つことに着目した取り組みを続けている。
きっかけは震災直後、公園や空き地で多くの家族が自前のキャンプ道具を使って避難生活をしているのを社員が目撃したことだった。同社は支援物資としてテントや寝袋を配っていたが、扱いに不慣れで戸惑う人も多かった。現地で活動した同社の竹山史朗常務は「キャンプに慣れている人は、そうでない人より落ち着いて避難生活をしていたのが印象的だった」と振り返る。
以降、同社は災害時も役立つ製品の開発を進めるとともに、野外活動のアイデア普及にも力を入れるようになった。取り組みは業界全体に広がり、昨年4月の熊本地震では複数のアウトドア関連企業が被災者に製品を貸し出したり、使い方をアドバイスしたりした。
キャンプ・登山用品を使いこなし、厳しい環境でも過ごせるようになれば、ボランティアとして被災地に駆けつけてもスムーズに活動できる。竹山常務は「自然が相手の登山やキャンプはマニュアルに頼るのではなく、状況に応じた判断や工夫が必要。通常の防災訓練では得られない応用力も身に着けられる」と話している。【青木純】
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