難民救済に尽くした評論家の犬養道子(いぬかい・みちこ)さんが24日、死去した。96歳。1932年の5・15事件で暗殺された元首相の犬養毅の孫。白樺派の作家で法相を務めた犬養健(たける)の長女として東京に生まれた。太平洋戦争中にキリスト教の洗礼を受け、48年に渡米後は欧州各地に暮らした。パリ・カトリック大学で聖書学を学んだ。
海外見聞を記した「お嬢さん放浪記」(58年)で言論界にデビュー。比較生活文化論を展開し、79年に初めてタイの難民キャンプを訪ねた。80年代以降はカンボジアやアフリカ、アフガニスタンなどの難民問題に深くかかわり、「犬養道子基金」を創設して難民への奨学金支給や環境保護活動に奔走した。「国境線上で考える」で89年に毎日出版文化賞を受賞した。
「人間の大地」「聖書を旅する」など著書多数。