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私だけの東京・2020に語り継ぐ

著名人へのインタビューを通じて、東京の魅力を再発見します。

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クリエーティブディレクター・箭内道彦さん 自分を形成した古里

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箭内道彦さん=根岸基弘撮影
箭内道彦さん=根岸基弘撮影

 福島出身の僕は、東京生まれの人がうらやましいと思っていました。わざわざ上京しなくても、手に入れたいものが近くにあるから。でも、東京で暮らすようになると、「君は帰る古里があっていいな」と言われた。その言葉で「そうか、東京の人には、古里がないと感じている人もいるんだ」と気付かされました。

 地方出身者は上京後にうまくいかなければ「疲れた」「傷ついた」と言って古里に帰る、と東京の人は思うかもしれない。確かにそういう部分もあります。でも、「古里がない」と感じている東京出身者が、自分の生まれ育った場所が古里だと思えたら、世の中がもっとやさしくなれるような気がする。そうすれば、古里が大けがをした人たちの気持ちをもっと考えてもらえるって思ったんです。

 福島県の商業都市、郡山市で生まれ育ちました。実家は商店街で菓子店を営んでいた。「隣の家の嫁は気が利かない」「向かいの息子は出来が悪い」などとうわさし、ネガティブな物の考え方を楽しむようなところが嫌いで、ずっと長く古里と向き合ってこなかった。大学受験で3浪したことも影響しています。「家を継いだほうがいいんじゃないか」「才能がないんだから」と言われるのがとても嫌でした。

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