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社説

連合が「高プロ」容認を撤回 迷走が残した大きなツケ

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 所得の高い専門職に残業代なしの成果型賃金を適用する「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)を容認する方針だった連合が態度を一変、撤回を表明した。

 もともとは「残業代ゼロ法案」と反対していたが、執行部が組織内や民進党への調整をしないまま容認に転じ、傘下の労組から反対の声が高まったのだ。

 連合が撤回しても、政府は「年間104日以上の休日確保」を会社に義務づけることを含んだ労働基準法改正案を臨時国会に提出するという。一度は歩み寄った連合の提案を取り入れ、労働者の健康に配慮した姿勢を見せようというのだろう。

 政府の説明によれば、高プロの対象は業務内容も就業時間も自分で決めることができる一部の専門職である。それなのに働き過ぎ防止を会社に義務づけるのは、自分で働く時間を決められない人についても想定しているからだろう。

 高プロが一般職にも広がる恐れがあるからこそ、政府・与党は慎重な審議を余儀なくされ、労基法改正案は2年以上も継続審議とされてきたのではないか。

 連合の提案は「1強」に陰りの見えてきた安倍政権に助け舟を出し、高プロ本来の理念と矛盾する制度にお墨付きを与えたことになる。撤回しても、残した禍根は大きい。

 働き方改革は、連合にとって「踏み絵」でもある。残業時間規制にしても同一労働同一賃金にしても、連合は以前から実現すべき政策課題として掲げていた。しかし、残業代がなくては生活できない従業員は多い。非正規社員の待遇改善をするため正社員の給与水準が下げられることには反対という人も多いだろう。

 一方、経営者側や政府が働き方改革で目指しているのは、生産性向上やコスト削減だ。制度設計の詰めが進む中で労使の対立が顕在化し、内部に矛盾を抱える連合が守勢に立たされる場面が目立ってきた。

 高プロも残業時間規制も、最終的には個々の職場での労使協議で具体的な対象者やルールが決められることになる。労働者の権利を守るためには労組の役割はやはり大きい。

 連合は自覚を持って政策や意思決定のあり方を見直し、組織の立て直しに努めるべきだ。

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