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くらしナビ・気象・防災

防災研究にも市民の協力

「みんなで翻刻」に取り組む京都大古地震研究会のメンバー=京都大古地震研究会提供

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 科学など専門家の研究に市民が参加する「シチズンサイエンス」と呼ばれる取り組みを、防災にも利用する動きが相次いでいる。時と場所を選ばず発生する自然災害の分析では、研究者がその瞬間に立ち会えなかったり、観測機器が無くデータを取れなかったりすることが避けられない。こんな時、その場の市民の協力が大きな力になる。防災に対する市民の意識向上も期待できる。

 ●気象情報の報告

 18日午後、首都圏を中心に積乱雲が発達し、東京都豊島区などでは大粒のひょうが降った。間もなく防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は、高さなど積乱雲の状態などの分析結果をウェブサイトで公表するとともに、市民にひょうの大きさや降った場所、時間、写真や動画を寄せるよう呼び掛けた。

歩道に降り積もったひょうと街路樹の葉=東京・池袋で18日、長谷川直亮撮影

 2015年10月から運用するシステム「ふるリポ!」の一環だ。ひょうだけでなく、雷や突風、大雪、洪水など、気象に関する報告を市民から集め、地図に表示してサイトで公開しているが、目的はそれではない。実際の観測情報をできるだけ集め、ひょうが降るような激しい現象を早期に検知する計算方法の開発に利用したいのだ。完成すれば被害軽減に役立てられる。突発的な現象は、既存の観測装置だけでデータを収集することが困難なため、一般の人からの報告が貴重だ。

 これに似た取り組みは、降雪予報の精度向上を図る気象庁気象研究所(同)にもある。降ってきた雪の結晶の画像を募集する「関東雪結晶プロジェクト」だ。荒木健太郎研究官は「雪の結晶の形によって雲の高さや気温、湿度などを知ることができる。だが、広域で把握するのは研究者だけでは困難だ。市民参加の研究が欠かせない」と話す。

 ●天気予報に活用

 一方、民間気象会社のウェザーニューズ社(千葉市)は今月24日、スマホアプリで配信していた天気予報の精度を高め、5キロ四方で1時間置きから、1キロ四方で5分置きに迅速・詳細化した。従来は困難だった短時間の局地的な豪雨や、標高差を加味した気温の予測も可能だ。

 これを実現させる上で、重要な役割を果たすのはやはり市民だ。「ウェザーリポーター」と名付けた同社のユーザーに、気温や湿度などが計測できる小型気象観測機3万5000台を配布し、スマホを通した観測データの送信を無償でしてもらっているほか、簡易な天気のリポートも1日13万通届くという。情報を生かす体制を整えたことで、詳細な予報が可能になった。石橋知博執行役員は「人が最高のセンサーだ」と話す。

 ●古文書を「読む」

 地震研究では、違った形で市民が参加する取り組みがある。地震学や歴史学の研究者からなる京都大古地震研究会が今年1月に始めた「みんなで翻刻(ほんこく)」プロジェクトだ。

 地震発生の地域性や周期性を考える時に不可欠なのは、過去の記録をとどめている古文書などの古い文献だが、こうした史料のほとんどはくずし文字のため、読むのが難しい。翻刻とは、くずし文字を1文字ずつ楷書に直していくこと。それが進めば、先人が残した文書から過去にいつどんな災害が発生し、どんな被害が生じたかなどの記録を容易に扱えるようになる。

 研究会に参加する加納靖之・京都大防災研究所助教(地震学)によると、プロジェクトの登録者は約3000人。最初に、東京大地震研究所の石本巳四雄(みしお)・元所長(1893~1940年)が収集し、現在は図書室に所蔵されている災害に関する文献「石本文庫」から114点を翻刻するのを141日で達成。同図書室所蔵の別の史料を対象に追加し、作業が進んでいるという。参加者からは「過去の地域の地震を知ることができた」などの感想が得られ、加納助教は「プロジェクトを通し、これまで研究者と接点がなかったような人ともつながることができた。参加者の防災意識の向上にも役立ってほしい」と話している。【飯田和樹】

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