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それでも、かばい続けた安倍首相のなぜ

大勢の報道陣に囲まれながら、防衛省を出る稲田朋美防衛相(中央)=東京都新宿区で2017年7月28日午前9時38分、小川昌宏撮影

自民党幹部「今村氏との差は…『かわいいから』しかない」

 稲田朋美防衛相が、いわゆる日報隠蔽(いんぺい)問題で辞任した。来月3日予定の内閣改造までもたなかった。過去に何度も行動や発言が問題視され、防衛トップや政治家としての資質に疑問符がついている。安倍晋三首相はそれでも稲田氏を重用し、かばい続けたあげくに破綻した。【佐藤丈一、福永方人】

 「現場の気持ちが分かっていたとは思えない。辞めて当然だ」

 ある陸上自衛隊幹部は険しい表情で言った。ハイヒールで潜水艦を視察するなど、批判を浴びる行動も目立っていた。「視察の回数も歴代で少なかったように感じる。派遣された隊員の大変さを分かっていたのか」

 北朝鮮が数日前から弾道ミサイル発射の動きを見せ、28日に発射した。別の自衛隊幹部は「首相にかわいがられてきたのだろうが、この時期の辞職とは最後まで人騒がせだ」。別の幹部も「とにかく閉鎖的で取り巻きの職員以外と交わろうとしない人だった」とため息をついた。

 稲田氏は靖国神社参拝へのこだわりや、教育勅語の評価など、タカ派的な言動で注目されてきた。2005年の「郵政選挙」で自民党幹事長代理だった安倍首相に誘われ初当選。野党時代の11年、月刊誌「正論」3月号での対談で「長期的には日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべきではないか」などと述べていた。

 第2次安倍内閣では行政改革担当相として初入閣。14年に当選3回で党政調会長に抜てきされた。首相は「彼女はホープだから」と周辺に語っていた。昨年、内閣改造の「サプライズ人事」で防衛相に起用された。

 稲田氏起用について自民党関係者は「本気で首相候補に育てようとして、経験を積ませるためだった」と指摘する。ベテラン議員の一人は「首相は稲田氏と丸川珠代五輪担当相をかわいがり、2人を競わせている」と語る。

 防衛相として数々の批判を乗り越えてきた稲田氏。東日本大震災を巡る失言で即日更迭された今村雅弘前復興相の例を挙げ、自民党幹部は「スパッと首を切られた今村氏との差は何なのか。『かわいいから』しかない」と言う。稲田氏が属する「細田派」は首相の出身派閥だ。首相周辺は「自派閥だからこそ、もっと早く切るべきだった」と語った。

 軍事評論家の前田哲男さんは「数々の失言や情勢の把握不足で当初から不適格の判定が下されていた」と評する。最も問題視するのは、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報に表記された「戦闘」を「法的な戦闘行為ではなく衝突」と説明したこと。「現地から本省への報告を上が握りつぶす説明をしたことになる。次から正しい報告が入ってこなくなる。どんな報告でも受け止める度量に欠け、指揮官として最悪です」

 そんな稲田氏を安倍首相はなぜ守り続けたのか。「防衛行政や政策に暗く、首相のお気に入りで用いられた面がある。支え続けた責任は重い」と前田さんは批判している。

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