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フレイレの音

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 激しい雨が降ったかと思うと、苛烈な日差しがぶつかってきて、木々や車の屋根に付いた水玉が輝きながら転がり落ちる。街路からいくつも首を伸ばしたアガパンサスの紫の花も光の花になり、次にまた水の花になる。

 今、目の前に見える花は、花の表面的な形であって、花の本質は別にある、と考えるギリシャ哲学を、教科書の中の古い考えとして記憶の片隅に退けていた。しかし、これほど天気が入れ替わり、街も空も花も見え方が千変万化すると、見えているものと見えているものの本質を別にとらえようとプラトンやアリストテレスなどが考えるのも分かるような気がする。

 ネルソン・フレイレのピアノを独奏、協奏曲と続けて聴いた。リサイタル(7月4日、すみだトリフォニーホール)のプログラムはバッハ、シューマン、ヴィラ=ロボス、ショパン。

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