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カジノ解禁に向けた動きが具体化してきた。
カジノを含む統合型リゾート(IR)の設置に向け、有識者による「IR推進会議」が制度の大枠をまとめ、政府に提言した。
カジノは免許制度とし、内閣府の外局として置く「カジノ管理委員会」が問題ない事業者かどうか調査を行い、暴力団などの介入を防ぐ。ギャンブル依存症対策として入場回数などに規制を設ける。そうした内容が盛り込まれた。
ただし、ギャンブル依存症対策は項目を並べただけで、具体的な中身は示されず、政府に委ねられた。
政府は今秋の臨時国会にもIR実施法案を提出する方針という。法案には、実効性のある依存症対策を盛り込むべきだ。
厚生労働省研究班が3月に公表した調査では、パチンコ・パチスロなどで依存症が疑われる成人は全国推計で283万人に及ぶ。そこにカジノが加わる負の側面をまず直視しなければならない。
提言は、カジノ入場の際、日本人についてはマイナンバーカードで本人確認を行い、長期(1カ月程度)と短期(1週間程度)の双方で入場回数を制限すると打ち出した。回数については諸外国の例を踏まえ検討すべきだとした。
ちなみにシンガポールは月8回、韓国は月15回に入場を制限している。しかしカジノにのめり込む人は後を絶たないという。諸外国並みの回数制限では不十分ではないか。
安易な入場を抑止するため、日本人からは入場料を徴収する。ただし具体的な金額は示さなかった。
自国民から約8000円の入場料を徴収するシンガポールの例が参考になるが、利用者の負担感に配慮しすぎれば、依存症対策には結びつかないだろう。
カジノを巡っては自治体の一部が誘致を検討し、外資系を含め企業も参入に意欲を見せる。そうした企業からは、利用規制が厳しくなることへの懸念の声も出ているようだ。
だが、カジノ解禁ありきで、必要な対策が不十分になっては本末転倒だ。国民の間には青少年の健全育成の観点からも反対の声が根強い。
政府は、こうした声も受け止めなければならない。