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ゲノム編集

ヒト受精卵で心臓病遺伝子「修復」 米チーム

 生物の遺伝子を効率良く改変できる新技術「ゲノム編集」をヒトの受精卵に使い、遺伝性の心臓病を引き起こす遺伝子変異を高い効率で修復する実験に成功したと、米国などの研究チームが2日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。今回は子宮に戻していないが、将来技術が確立すれば遺伝性疾患が子孫に伝わるのを防げる可能性を示す内容。だが、限られた好条件での実験で、研究チームは臨床応用には社会的合意も必要としている。

     ゲノム編集でヒト受精卵の遺伝子を操作する研究は中国で3例の報告があるが、米国では初めて。改変された影響が次世代に受け継がれるため、安全性や倫理面から否定的な意見が強く、米政府は公的研究費を配分していない。ネイチャーなどの主要科学誌が論文を掲載するのも異例で、研究や応用の是非を巡り論争を呼びそうだ。

     研究チームは、世界で初めてヒトクローン胚性幹細胞(ES細胞)を作ったミタリポフ博士ら米オレゴン健康科学大や韓国の研究所が主体だが、日本の研究者も加わっている。

     論文によると、肥大型心筋症の原因とされる遺伝子変異がある精子を健康な女性の卵子に顕微授精すると同時に、クリスパー・キャス9というゲノム編集技術を利用。受精卵58個のうち約7割で遺伝子が修復でき、異常な細胞が混じる問題も起きないことを確かめた、などとしている。

     日本では昨春、政府の生命倫理専門調査会が一部の基礎研究に限って受精卵のゲノム編集を認めるとの報告書をまとめた。今の国の指針では、今回の論文のような目的で受精卵を作る研究は認められていないが、見直しの動きもある。

     今回研究に参加した鈴木啓一郎・米ソーク生物学研究所研究員は「ゲノム編集する前の条件の最適化やテストをしたが、私自身はヒト受精卵のゲノム編集には全く関わっていない」と話している。【千葉紀和、荒木涼子】

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