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避難所に「住民自主組織」 九州北部豪雨 福岡・朝倉

避難者や市職員、看護師らが情報を交換する班長会議=福岡県朝倉市杷木池田で7月26日、山下俊輔撮影

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 九州北部豪雨は発生から間もなく1カ月を迎えるが、避難所生活が長期化している。そんな中、大きな被害が出た福岡県朝倉市で、住民らを中心に独自の運営体制を築いた避難所がある。避難所内の部屋ごとに班長を決め、行政との情報交換を円滑にする仕組みを作った。こうした動きについて、学識者は「避難所生活が長引く中、自主的に話し合える場があるのは望ましい」と評価している。

被害が大きかった福岡県朝倉市黒川の北小路集落。写真中央を流れていた小川が氾濫して川沿いの民家を襲った=7月23日、徳野仁子撮影

 ●部屋に「班長」

 現在も住民約100人が避難生活を送る同市杷木(はき)池田の「らくゆう館」(杷木地域生涯学習センター)。住民は現在、館内五つの部屋に分かれて暮らし、各部屋には住民から選ばれた「班長」を置いている。毎日午前7時半と午後5時半に、5人の班長に加えて、地元住民らでつくる杷木コミュニティ協議会のメンバー、市職員、看護師らが参加する「班長会議」が同館の事務所で開かれている。

 会議では、班長が部屋の住民から上がった要望などを伝え、市職員が仮設住宅などの行政関連の情報などを提供する。班長は部屋に戻って会議で出た情報を住民に伝える。

 同協議会会長の泉俊三さん(71)は「例えば水道が復旧したなどの情報が速やかに住民に伝われば、早く帰宅できる人がいるかもしれない。情報をスムーズに共有できることが大切だ」と強調する。

 この仕組みは、避難生活が始まって数日後に同協議会がボランティアらの助言も受けて考案し、始まった。

 ●不満をまとめ

 豪雨直後、らくゆう館には150~200人が避難してきた。同協議会はボランティアを募集して5日間は炊き出しをしたが、数日がたつと、避難者から不満が出るようになった。そこで、泉さんは避難者全員を集めて「自分たちでやれることは自分たちでやろう」と呼びかけ、部屋ごとにトイレ掃除などを分担。各部屋からは班長を選んでもらい、定期的に班長会議を開くようになった。

 班長会議では「ラジオ体操をやってみてはどうか」「靴が散らかっているから片付けよう」という提案があった。部屋ごとに洗濯機を使う時間を決めたり、ボランティアで来るヘアカットやマッサージの順番も決めたりと、ルール作りもスムーズだ。泉さんは「すぐに解決してほしいこと、長期的に求めたいことなどいろいろな話が出る。改善できるものは改善していきたい」と手応えを感じている。

 避難所運営では、ボランティアの存在も欠かせない。被災地支援の経験が豊富なグリーンコープ生活協同組合ふくおか(福岡市博多区)は、らくゆう館の班長会議で要望が上がった物資の提供など、行政の手が届かない避難者の声にきめ細かく対応している。

 また、朝倉市の三奈木地区や高木地区の住民約40人が避難する「三奈木コミュニティセンター」でも、二つの部屋にリーダーを置いている。

 ●行政と情報交換

 行政からの情報は三奈木地区コミュニティ協議会会長の武田雄一さん(72)を通じて各リーダーに伝えられ、住民側の要望や苦情はリーダーから武田さんを通じ、行政側に伝えられる。各部屋では、ほぼ毎日住民同士のミーティングがあり、意見交換をしたり、復旧作業の打ち合わせをしたりする。武田さんはリーダーを設置した理由について「まとまった意見がほしかった。ミーティングの結果を逐次報告してもらうことで、被災者に寄り添った行動が取れる」と話している。

 常葉大大学院の重川希志依(きしえ)教授(防災教育)は避難所で住民発の自治組織が形成された動きについて「長期化する避難生活にとって望ましい運営方法だ」と評価する。

 重川教授は「住民一人一人がばらばらに不満を持っていては解決につながりづらい。自主的に集まってどんなことが必要かを話し合うことで、避難所内のルールもでき、みんなが自分たちの問題として状況を改善していくことができる。今後、避難が長期になっても、こうした取り組みを継続していくべきだ」と指摘している。【山下俊輔、遠山和宏、円谷美晶】

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