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手先を器用に動かす神経回路、赤ちゃんに

大脳から筋肉へ指令を伝える神経回路
チューブから落ちてくる餌を器用に拾うマウス=サイエンス誌提供

 ヒトやチンパンジーが手先を器用に動かすために備えている神経回路が、生後間もないマウスにもあることが分かったと、吉田富(ゆたか)米シンシナティ小児病院医療センター准教授(発生学)らの研究チームが米科学誌サイエンスに発表した。マウスは成長過程でこの回路が失われるが、遺伝子操作で失われないようにして育てると、前脚を器用に動かせたという。

     研究チームは「四足歩行の動物では、前脚が器用になるメリットが少ないのかもしれない」と分析している。

     5本の指を別々に動かして細かい作業ができるのは、ヒトやチンパンジーなど一部の霊長類だけだ。これらの動物は大脳から全身の筋肉に指令を伝える神経回路が、2本の長い神経細胞でつながっている。他の哺乳類は3本でつながっており、脳からの電気信号の伝達にロスや遅れがあると考えられている。

     吉田准教授らは、二つの神経細胞しか移動できない特殊なウイルスを生後3日のマウスの筋肉に注射。ウイルスが大脳に届いたのを確認し、2本の神経細胞でつながる回路があることを確かめた。生後間もないマウスには2本の回路と3本の回路が併存し、成長する過程で2本の回路だけがなくなると考えられるという。

     さらに2本の回路を消失させるたんぱく質を特定し、両方の回路が残るように遺伝子操作したマウスを育てた。チューブから落ちる餌を前脚で拾い上げるテストをさせると、8匹の成功率は平均59.3%で、通常のマウス7匹の平均38.6%より高かった。【伊藤奈々恵】

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