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社説

岐路の安倍政権 憲法改正 首相主導の日程は崩れた

 もはや安倍晋三首相が憲法改正を主導できるような政治環境にはない。首相に必要なのはその自覚だ。

     首相は内閣改造時の記者会見で改憲の進め方について「スケジュールありきではない」と答えた。2020年の改正憲法施行を目指し、今秋の臨時国会に自民党案を出す日程が険しくなったことの反映だろう。「私は一石を投じた。党主導で進めてもらいたい」と弁解もした。

     改造直後の毎日新聞世論調査で内閣支持率は35%だった。7月調査の26%から若干持ち直したものの、長期政権のおごりが目立った首相に対する国民の不信感はなお強い。

     首相は改造内閣の姿勢として「経済最優先」を掲げ「政権を奪還した時の原点に立ち返る」と表明した。

     気になるのは、これまでも支持率が下がるたびに経済最優先を強調し、支持が戻れば改憲に意欲を示す、という繰り返しだったことだ。

     今回も経済で得点を稼ぎ、支持率の「貯金」ができれば、それを改憲の「資金」に振り向けようと考えているのではないか。国民の暮らしを豊かにする経済政策を、自身の宿願をかなえる手段のように扱う発想にそもそも無理がある。

     首相が憲法9条1、2項をそのままに自衛隊の存在を明記する案を提起し、具体的な改憲の目標時期を打ち出したのは、支持率が5割前後を維持していた今年5月だった。

     首相は自民、公明に日本維新の会などを加えた「数の力」で改憲を進める姿勢をにじませた。国会の憲法審査会における、与野党の合意形成を重視してきた自民党憲法改正推進本部には従来路線の転換を求め、同本部の人事にも介入した。

     9条を巡り意見対立を抱える民進党に「踏み絵」を突きつけ、党分裂を誘う思惑もちらつかせた。

     「安倍1強」の慢心からくる首相の強硬路線は、その基盤となる世論の支持が細った瞬間に崩れた。

     憲法は将来にわたって国のかたちを定める根本規範だ。時々の支持率に寄りかかって議論すべきではない。だからこそ、憲法審査会では「憲法を政局に利用しない」との不文律が与野党間で共有されてきた。

     「謙虚に、丁寧に」が改造内閣のうたい文句だ。まずは憲法論議を従来の与野党協調路線に戻すべきだ。

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