メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

論の周辺

危機にひんする蔵書文化

 人は生涯の中で多かれ少なかれ本というものを購入し、いつしか「蔵書」を形作っていく。その数が増えるとスペース確保に四苦八苦するのは、日本の住宅事情からいってやむを得ない。しかし、そもそも電子出版が進めば、従来の蔵書という観念自体が成り立つのだろうか。

 そんな思いを抱いたのは、紀田順一郎さんの著書『蔵書一代』(松籟社)を読んだからだ。書誌学、メディア論の泰斗として数多くの業績を残してきた著者は2年前、約3万冊に及ぶ蔵書を処分した。古書市場に引き渡したのだ。紀田さんほどの著作家の蔵書ならば深みがあり、学術的価値も高かったに違いないのに、なぜ図書館や文学館といった、しかるべき機関に引き取られなかったのか。その事情を痛恨の思いとともにつづり、近代日本の出版史、出版文化を考察したのがこの本だ。

 「日本人の蔵書が西欧の蔵書家に比すると平均的にスケールが小さく、蔵書としての総体を維持し難いような…

この記事は有料記事です。

残り1089文字(全文1485文字)

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「クルーズ船で入国し失踪」外国人 初の年間100人超 九州で全体7割
  2. 全国から注文殺到 福島名物「ラヂウム玉子」ロゴ入りTシャツが人気
  3. 飲酒運転で阪神高速逆走、正面衝突 4人軽傷被害 36歳男を逮捕
  4. 「介護しているのに文句ばかり」夫の口塞ぎ 妻を逮捕 容疑は殺人未遂 大阪
  5. 大坂選手「成功より幸福感大事」 コーチ契約解消で

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです